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    ゼニア おすすめ生地レーベル『クールエフェクト』

    2010年に発表されたErmenegildo Zegna(ゼニア)のレーベル「クールエフェクト」は、夏の暑い時期でもダークカラーのスーツを涼しく着ることができるようにと考えて開発された生地です。

    ゼニアの「クールエフェクト」のスーツが涼しく着られる理由は、2つあります。まずは、生地の染めと仕上げの段階で施される特殊トリートメント。この特殊トリートメントの効果により、「クールエフェクト」は生地の表面温度を約10度低く抑えることができ(ゼニア調べ)、真夏日でも快適に着ることができるのです。
    特殊トリートメントの説明の前に、簡単に「なぜダークカラーのスーツは暑いのか」を説明しましょう。
    ダークカラーのスーツが暑い理由をひとことでいうと、「ダークカラーは太陽光を反射しないから」です。

    ゼニア クールエフェクトの涼しい理由1.特殊トリートメント

    私たちは、光の反射で色を見分けています。光には、虹のように何色もの色が混じっていて、そのうちのどの色を反射するかによって、モノの色は決まります。つまり、赤いものは赤い色を、黄色のものは黄色の光を反射するから、「これは赤」「これは黄色」と私たちは見分けることができるのです。

    では、白はなぜ白に見えるのでしょうか。実は白というのは、ほとんどすべての色の光が混じっている色です。つまり、白はほとんどすべての光を反射する色なのです。
    太陽光には、熱が含まれています。太陽光を反射するということは、その熱も一緒に反射する、ということです。「白の服は涼しい」と言われますが、これは今お話したように、白はほとんどの光を反射する、つまり、太陽光に含まれる熱も反射するからです。
    ところが、ダークカラー、特に黒は、どの光も反射しません。どの光も反射しないということは、熱も反射せず、吸収してしまうということ。だから、ダークカラーは熱くなるのです。
    こう考えると、ダークカラーの生地は色の性質上、太陽光に含まれる熱を吸収するのはやむを得ないように思えます。しかし、もし、ダークカラーでも太陽光を反射することができれば、熱くなりにくい生地ができるはずです。

    そこでゼニアは、太陽光を反射させる特殊なトリートメントを開発。反射させる仕組みは企業秘密のため詳細は不明です(おそらく、太陽光を反射する特性をもつ水溶性の薬品を染色液や仕上げ洗い用の水に混ぜ込んでいるのではないかと推測されます)。このトリートメントを、染め、仕上げの2回にわたって入念に施すことで、太陽光を80%も跳ね返す、熱を吸収しにくい生地を作ることに成功しました。ちなみに、一般的なダークカラーの生地は、太陽光を約20%程度しか反射しないことから考えると、どれほど太陽光を反射するかがわかるのではないでしょうか。
    しかも、この特殊トリートメントは、太陽光を反射する高い機能を持ちながら、生地そのものの手触りや見た目などにはなんの影響も及ぼしません。そのため、ゼニアの生地が持つ繊細な風合いが損なわれることもありません。
    また、染と仕上げの2回にわたり特殊トリートメントを施しトリートメントの層を二重にすることで、クリーニングをしても太陽光を反射する機能が失われにくくなっています。

    このゼニアの特殊トリートメント加工は、「クールエフェクト加工」と呼ばれています。
    つまり、ゼニアの「クールエフェクト」というレーベル名は、「クールエフェクト加工された生地」という意味で付けられた名前なのです。
    「クール○○」という名前の特殊加工を施した衣料品や、熱を吸収しにくい素材のスーツは、近年、多くのメーカー、ブランドから登場していますが、日本において初めて登場した「クール○○」という名の熱を吸収しにくい生地のスーツは、ゼニアの「クールエフェクト」です。

    ゼニア クールエフェクトの涼しい理由2.糸

    さて、ゼニアの「クールエフェクト」が涼しく着られるもうひとつの理由は、糸にあります。
    生地の薄さまずは、この写真をご覧ください。
    「クールエフェクト」を店内照明にかざしてみました。生地の薄さがわかるのではないでしょうか。

    ゼニアの「クールエフェクト」には、オーストラリア産スーパーファインウール、その中でも特に繊維の平均直径が17ミクロン以下のものが使用されています。スーパーファインウールとは、繊維の平均直径が19.5ミクロン以下のウールのこと。つまり、「クールエフェクト」には、ウールの中でも特に繊細な原毛が使われている、ということになります。
    特に細い繊維を使うということは、どういうことでしょうか。
    細い繊維をそのまま糸にすると、強度に不安が残ります。そのため、強度を出すために、繊維を強く撚った糸「強撚糸(きょうねんし)」を作って織り上げることがほとんどです。強撚糸にすることで、強さはもちろん、しなやかさや光沢などの特徴が生まれます。

    ゼニアの「クールエフェクト」は、この強撚糸を使って織られています。糸そのものに強度があるため、生地の織り目が少々粗くても強度を保つことができ、写真のような、薄くて通気性の高い、夏向きの生地に仕上がるのです。
    具体的に言うと、縦糸・横糸にはともに82番手の糸を双糸にして使用。目付(めつけ)は190グラムですとなっています。
    (なお、番手とは、原毛から何キロメートルの糸が作れるかを元にした糸の細さの基準、双糸とは、原毛を撚り合わせて作った「単糸」と呼ばれる糸をさらに2本撚り合わせて作った糸、目付とは単位面積当たりの生地の重さのことです。それぞれ、「トロフェオ(春夏)」のページで詳しく説明しています)

    さらに、より薄い「クールエフェクト」もあります。こちらの写真をご覧ください。

    最初にお見せした「クールエフェクト」より、照明が透けて見えるのがわかると思います。
    この薄さの違いは、元になっている生地と、それに使われている糸の違いから生まれます。
    最初にお見せした「クールエフェクト」は、ゼニアの「トロピカル」というレーベルを元にして生まれました。次にお見せした、より薄い「クールエフェクト」は、ゼニアの夏用レーベル「ハイパフォーマンス」にクールエフェクト加工をほどこしたものです。
    「ハイパフォーマンス」は、ゼニアの「トロフェオ」クラスの細さ、つまり繊維の直径が平均16ミクロンと、通常の「クールエフェクト」よりさらに細い原毛が使用されている生地。織り目をさらに粗くしても強度を保てるため、写真のような透け感のある、薄くて軽い生地を織ることができるのです。

    太陽光を反射するクールエフェクト加工と、強撚糸を使って薄く軽く織り上げることで、夏でもダークスーツを涼しく着ることができるようになったゼニアの夏向けレーベル「クールエフェクト」。現在は、前述したように、糸と織り目の粗さが異なる2種類の生地が企画されていますが、近い将来、これにさらに新しい企画が加わる可能性もあると考えられます。

    たとえば、シワになりにくいことで知られるゼニアのレーベル「トラベラー」にクールエフェクト加工をほどこした「トラベラーのクールエフェクト」が誕生すれば、涼しく着こなせるだけでなく、シワにもなりにくいという夏の最強生地ができることでしょう。

    現在は、無地・ピンストライプ、チェック柄などの、トレンドを意識した柄が豊富な「クールエフェクト」。今後、どのような柄の、どのような企画のものが発表されるのか、盛夏用の素材として注目すべきレーベルです。

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