- タキシードをカジュアルな集まりに着ることはできる?
- カジュアルに着たいけど、タキシードだからルールがある?
- どんな色のタキシードだと着回しできるか知りたい
タキシードをカジュアルに着るといっても、どこまでカジュアル要素を入れていいか難しいものです。
礼装であるタキシードをカジュアルに着たいと検討するシーンの多くが『くだけた雰囲気のパーティー』や『個人で楽しんで着るため』であり、決まりやルールはありません。
ただし、『くだけた雰囲気』とはいえ主催者やゲストがいる場合は、相手に不快感を与えない『TPO』をわきまえてコーディネートするセンスが求められます。
この記事では、タキシードをカジュアルに着る時のポイントやおすすめのシーンを解説します。
正式なパーティに着ていくタキシードの基本についてはこちら≫タキシードとは?おしゃれな装いや基本ルールを徹底解説を参考にしてください。
タキシードのカジュアルな着こなしとは
タキシードは本来カジュアルに着るためのものではありません。
正式な礼装として国際的に認められた服装であり、白いドレスシャツ・黒いボウタイ・黒いウェストコートなど厳格に決められたルールがあります。
しかし、私たち一般市民が正式なタキシードを着るような式典・社交会に参加する機会は少なく、私的なパーティーや結婚式などに参加する機会の方が圧倒的に多くなっています。
そのような私的なパーティーや集まりでは、カジュアル要素を取り入れたタキシードを着ても受け入れられることが多く、スーツよりかしこまった雰囲気を演出することができます。
(ドレスコードがないパーティーに限ります)
タキシードのカジュアルな着こなしには大きく分けて2タイプあります
- 本格的なタキシード(フォーマルタキシード)をカジュアルダウンして着る
- カジュアルタキシード(はじめからカジュアルに作られたタキシード)を取り入れる
それぞれの特徴と着こなし方を解説します。
①本格タキシードをカジュアルダウンして着る
タキシードのカジュアル ダウンとは
- アイテムに“あえて外した”ものを選びカジュアル感を演出すること
- 正礼装であるタキシードもアイテムを変えることで、スーツと同程度の格式として着ることができる
※フォーマルウェアにカジュアルアイテムを合わせることを『着崩す』ともいうが、だらしなく着るという意味ではない
- パーティーのために買った本格タキシードをあまり着る機会がない
- スーツよりちょっとかしこまった雰囲気の服装がしたいのでタキシードをレンタルする
といったような場合に、コーディネート次第でシーンに合わせた服装ができます。
本格的なタキシードとは黒(またはミッドナイトブルー)で拝絹地が襟元についたものであり、カジュアルな場であれば昼夜を問わず着てもかまいませんが、ゲストや主催者のいるような多くの人が集まる会では夜の礼装であることを前提に着用したほうがいいこともあります。
「カジュアルな場」と「かしこまった場」ではカジュアルダウンの度合いも異なるので、コーディネートを例をご紹介します。
正式コーディネート | かしこまった コーディネート例 | カジュアルな コーディネート例 | |
---|---|---|---|
ジャケット &パンツ | 正規の上下揃ったタキシード | シックな色(黒)の無地のパンツを取り入れる | 柄のあるパンツ・丈が短いパンツなどでもOK |
ウェストコート | 黒のベストかカマーバンド | ウエストコートなし 色・柄のあるウェストコートを取り入れる | ウエストコートなし 色・柄のあるウェストコートを取り入れる |
シャツ | 白いシャツ 襟はウィングカラーorダブルカラー | 色柄のあるシャツを取り入れる(黒などの濃色も可) | 色柄のあるシャツやノーカラーの襟のものを取り入れる ハイネックなどのニットを取り入れる |
ネクタイ | 黒い蝶ネクタイ(ボウタイ) | 色・柄のある蝶ネクタイ 結び下げのネクタイ | 色・柄のあるネクタイ ノーネクタイ |
ポケットチーフ | 白orシルバーグレー | ネクタイやウェストコートに合わせる | ネクタイやウェストコートに合わせる チーフなし |
装飾品 | 黒×シルバー | 色のある宝石もOK (金色は好まれない) | 自由でOK |
シューズ &ソックス | 黒のエナメルorサテン素材の靴 黒のハイソックス | 黒や濃色の一般的な革靴 色・柄のあるソックス(薄手) | 革靴・ブーツ・スニーカーなどコーディネートに合わせて自由でOK |
②カジュアルタキシードを取り入れる
タキシードの着こなしで『カジュアルタキシード』を取り入れることは、近年とても人気があります。
カジュアルタキシードとは、黒・ミッドナイトブルー以外の生地で作られたもの
- はじめからカジュアルに着るために作られたもので、公式・国際的なパーティーには着用できない
- 光沢のあるカラータキシードは「ファンシータキシード」と呼ばれ、フォーマル度が高くなる
- 黒いタキシードでは堅苦しく感じる
- 今後も気軽に着られるタキシードを購入したい
- ナチュラル・ポップなど、タキシードで雰囲気を演出したい
といったような場合に、お好みで選ばれるタキシードです。
カジュアルタキシードにはジャケットの襟元の「拝絹(ハイケン)地」・パンツの「側章」がない物もあり、スリーピーススーツとの区別が難しいことがあります。
とくに襟元の「拝絹(ハイケン)地」がない場合は、なにをもってタキシードを見分けるべきか、悩まれるかもしれません。
一般的に、襟の形状や生地・ディティールの違いでタキシードとスーツを分けていますが、はっきりした境界はなく、おしゃれに作られたスリーピーススーツとタキシードはとても近い存在です。
カジュアルタキシードは、ドレスコードのないカジュアルな場に着ていくためのタキシードなので、選んだものが仮にスリーピーススーツであったとしても問題はありません。お好みで選びましょう。
結婚式でもタキシードをカジュアルに
結婚式のタキシードもカジュアルなものが増えてきています。
SNSなどのネットに掲載された画像で、あまりにも多くのカジュアルなタキシードコーディネートを目にするため、タキシードは自由に着ていいものだと勘違いされるのではないかと懸念されるほどです。
基本を解説すると、本来タキシードとは正礼装であり、ルールや着るべきアイテムが決まっているものです。
しかし、結婚式・披露宴だけは独自ルールのようなものがあり、正式な挙式であっても自由な着こなしが受け入れられる傾向にあるのです。
結婚式でカジュアルなタキシードが受け入れられている理由とは
私的な顔見知りが集まるパーティーのため多少のルール違反は不問とされている点と、フォーマルウェアというより『衣装』として考えられている点があげられます。
近年の結婚式では、式も服装もカジュアル化がすすんでいますが、結婚式の規模、場所、主催者やゲストの地位、ドレスコードの有無によってはカジュアルを取り入れることがNGな場合もあります。
シーンに応じてどの程度の服装にするかを知るために、シーンによる着分けを再確認しておきましょう。
それでは、なぜカジュアルなタキシードが人気なのか、どのようなシーンに着られてるのかを解説します。
前撮りはタキシードのカジュアルコーデが人気
前撮りのタキシードは、「サスペンダーのみ」や「カジュアルなコーディネート」が人気
本来の前撮りとは、結婚式・披露宴当日の撮影では慌ただしいため、挙式と同じ服装・髪型で前日までに撮影を済ませておくものでした。
近年、ゲストに対しての気遣いする必要のない前撮りは「楽しむ」ことも重要視されるようになりました。
加えて、SNSの普及で多くの前撮り写真が見れるようになったため「おしゃれに」「個性的に」といったニーズも増え、急速に多様化しています。
- 結婚式・披露宴の服装をアレンジして当日とは違った雰囲気を楽しむ
- 当日は着ない服装(和装)を撮影して、会場や受付でお披露目する
- ロケーション撮影でアートのように撮影する
- 新郎新婦の思い出の場所や、親族なども交えて撮影する
など、新郎新婦の好みで自由に撮影されるようになってきました。
特に“①結婚式・披露宴の服装をアレンジして当日とは違った雰囲気を楽しむ”というパターンがとても多く、ジャケットを脱いだ「サスペンダーのみ」「ベストのみ」、ネクタイやベストなどのアイテムを変えた「当日よりカジュアルなコーディネート」が人気があります。
カジュアルウエディングでのタキシードとは
- カジュアルなウエディングでもタキシードは着られている
- 小規模な結婚式であっても「かしこまったコーディネート」をすることがベター
近年の結婚式は、親しい友人や身内だけの小規模ウェディング(パーティー)が増えています。
小規模な結婚式は、レストランや屋外(ガーデン)で行われることも多く、新郎の衣装に燕尾服・モーニングといった伝統的な礼装を選ぶと「堅苦しい」「場の雰囲気に合わない」と感じることがあります。
そういった場合、スーツ(スリーピーススーツ)を着ることも多いのですが、「ゲストとの差をつけたい」「スーツよりかしこまった服装をしたい」と考える方には、カジュアルタキシードがおすすめです。
カジュアルダウンされていてもタキシードは普段着るスーツとは違い「非日常感」と「おもてなしの気持ち」を表現できます。
これから衣装を決めるという方は、タキシードを結婚式で着るためのルールも参考にぜひ検討してみてください。
結婚式のゲストの場合
ブラックスーツや礼服のスリーピーススーツがゲストとしては一般的ですが、タキシードを着用することもルール違反ではありません。
かしこまった服装で出席を考える場合、タキシードをカジュアルダウンして着ることはよい方法であり、おすすめです。
※ただし、白いタキシードは控え、新郎より華美にならないよう配慮は必要です
二次会のタキシードはカジュアルを取り入れやすい
二次会は、カジュアルタキシード・カジュアルなコーディネートを取り入れやすい
結婚式の二次会は、小規模ウェディングよりもくだけたパーティーになることが多く、タキシードのカジュアルコーディネート(カジュアルタキシード)を取り入れやすいシーンです。
色や柄のあるタキシードでも、正式なタキシードのカジュアルコーディネートでも、ある程度自由に着られますが、友人どうしで写真を撮ることも多いため、新郎(メイン)であることを意識した服装で参加しましょう。
1.5次会とは
近年、結婚披露宴でありながら二次会のようなパーティー(友人メインの集まり、会費制)も増えており、そのような披露宴スタイルを『1.5次会』と呼ぶことがあります。
二次ほどくだけた会ではないため、タキシードが新郎・ゲストともに広く着用されています。
服装にルールはありませんが、主催者(メイン)は新郎新婦です。ある程度きちんとした服装(新婦はドレス)でいるべきであり、新郎は新婦のブーケに合わせたブートニアをつけるようにしましょう。
タキシードのカジュアルコーデをご紹介
タキシードのカジュアルコーディネート、カジュアルタキシードの例をイラストでご紹介します。
組み合わせは無限といっていいほどたくさんありますが、ネクタイ・ポケットチーフ・ウェストコート・靴など、アイテムの色を合わせると整った印象になります。
コーディネートの参考にお役立てください。
カジュアルなタキシードはレンタルが難しい場合も
タキシードのカジュアルな色柄のものはレンタルが少ない傾向にあります。
カジュアルタキシードは購入のほうが好みを反映しやすくサイズ感も調整できますが、レンタルの多い正式なタキシードをカジュアルに着る方法も取り入れやすく、どちらの方法もおすすめです。
カジュアルタキシード・正式なタキシードのどちらも、TPOをわきまえたカジュアル感で着用するセンスが必要になり、そのためにはフォーマルスーツの基本も知っておく必要があります。
- タキシードの『着崩し』や『カジュアルタキシード』はシーンによってはNG
- 正式なタキシードでも“あえて外した”コーディネートでカジュアル感を演出できる
アイテムを正式なものから変えることで格式も低くなり、多くのシーンで着用しやすくなる - カジュアルタキシードとは、黒・ミッドナイトブルー以外の生地で作られた光沢のないもの
- カジュアルなタキシードは小規模結婚式(カジュアルウェディング)で近年人気がある
タキシードを含むフォーマルスーツにはルールやマナーがあり、カジュアルに着ていいかどうかは状況に応じて変わります。
会の規模、場所、時間帯、同伴者とのバランス、ドレスコードなどを考慮して、カジュアルを取り入れるべきか判断しましょう。
判断の基準はタキシードとは?おしゃれな装いや基本ルールを徹底解説でマナーや着こなし例と一緒にご紹介していますので、大切なシーンを彩るタキシードの参考にしてください。