冠婚葬祭で役に立つ!礼服・喪服のボタンマナーを解説

  • 礼服のボタン、留め方についてルールはある?
  • 礼服・喪服を持っていない!突然必要になったけど、どんなものを買ったらいい?
  • 葬式でダブルのボタンがついたスーツはNG?

礼服について「突然出席が決まったけど、どんな服装ならいいの?ボタンマナーはどうすればいい?」と慌てた経験はほとんどの方があるのではないかと思います。

礼服と一言で表しても、実はその種類は多岐にわたり、ボタンマナーも服装により異なります。

別の記事ではスーツのボタンマナー全般について説明いたしましたが、今回は礼服の種類について例を挙げながら、着る機会が多い結婚式・披露宴でのスーツや喪服のブラックスーツに焦点を当て、そのボタンマナーを解説していきます。

礼服のボタンマナーは基本的にビジネススーツと同じです。
1つボタンと喪服のダブルのスーツはすべてのボタンを留めると覚えておくと便利です。

目次

礼服の種類とボタンの数を詳しく解説

礼服(礼装)とはフォーマルな場で着用する服装を指す言葉です。
着用する場面により、その服装は大きく変わり、マナーも格式が高くなるほど厳格に定められています。

ちなみに喪服は礼服の一部で、葬式や告別式などの弔事に着る服装を指します。

まずは礼服の種類とボタンの数について挙げてみましょう。
礼服には大きく分けて「正礼装」「準礼装」「略式服」の3種類があります。そして昼(式典などのかしこまった場)と夜(披露宴や晩さん会などの宴の場)、お祝いとおくやみでも異なりますので注意が必要です。

礼服で最も格式高い「正礼装(モーニング・燕尾服)」とボタンの数

モーニングと燕尾服のイメージ
モーニングと燕尾服のイメージ

昼(儀式)の正礼装としては「モーニング」が挙げられます。
ジャケット、ベスト、ズボンを違う色や柄、別の素材にするのは、スーツが登場する以前の身分や地位が高い人たちの身だしなみマナーを踏襲しているからです。

かなり厳格に服装のルールが定められており、ボタンも「モーニングコート」と呼ばれるジャケットに1つつけられているだけです。

ただしその留め方には慶事と弔事で違いがあり、結婚式などでは「拝み合わせ」というボタン同士をジャケットの合わせを境目にして背中合わせのように留めますが、葬式などの弔事では通常通りの留め方となります。

夜(宴)の正礼装としてはイブニングドレスコート、いわゆる「燕尾服」が挙げられます。
着用マナーが礼装の中でも厳格なためか着る機会は少ないかもしれませんが、今でも宮中晩さん会やクラシックのコンサート、勲章の授与式などで見ることができます。

燕尾服の名前ともなったツバメのしっぽのようなジャケットには6つのボタンがついていますが、どれも飾りボタンのため閉じることはありません

準礼装(タキシード・ディレクターズスーツ)とボタンの数

タキシードのイメージ
タキシードのイメージ

式典などでの準礼装としては「タキシード」「ディレクターズスーツ」が挙げられます。

現代では儀式の礼装は区別があいまいになっている影響でディレクターズスーツはあまり着用する機会がないかもしれません。
欧米で民間企業の重役が執務服として好んで使用したためそのように呼ばれるようになりました。

形状としてはモーニングのジャケットを一般的な形にしたもので、その他のルールは一緒です。
ジャケットのボタンについてもモーニングコートと同様に1つしかついていませんので、必ず留めておきましょう

結婚の披露宴などでメンズの礼服といえばまず、タキシードを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
タキシードは他の礼服と違い、お祝いごとでしか着用しないため、色や素材などは自分の好みで選択できる幅が広くなっています。

ボタンの数は一般的には1つとされており、基本的には閉じて着用します。
しかし座るときやベストを着用時のボタンマナーもビジネススーツのジャケットと同じで、座るときは外し、ベスト着用時はボタンを外しても構いません。

略礼服(ブラックスーツ・ダークスーツ)とボタンの数

結婚式でのダークスーツのイメージ
結婚式でのダークスーツのイメージ

礼服が簡略化されつつある現代で一番着る機会が多いのはこの「ブラックスーツ(ダークスーツ)」でしょう。

お祝いの席であればブラックはもちろん、一般の参列者であればグレーやブルーの暗い色を着用するのもおすすめです。

ベストはジャケットと同じ色、素材のものが多いですが、異なる色のベストを用意しておくと、より華やかなイメージになります。
その際はジャケットに合う淡い色のものにしておくと悪目立ちすることもありません。

葬式などの弔事ではブラックを選ぶことになりますが、ビジネススーツと礼服のブラックでは異なりますので注意が必要です。

礼服のブラックスーツはよりフォーマルな印象になるよう、ビジネススーツよりも濃い黒色で染められた生地を使います。
また葬式や告別式で着用する場合には、光沢のない生地を選ぶのも重要です。

ボタンについては1つのものがよりフォーマルな印象を受けますが、自分の体型や好みで選んで問題ないでしょう。

ボタン2つでシングルの並びのもの、ボタン4つでダブルの並びのものなどもよく見かけます。

礼服スーツのボタンマナーについて

礼服の種類とそれぞれのボタンの数や特徴についてここまで説明をしてきました。

近年では正礼装であるモーニングや燕尾服を着る機会は大変少なく、タキシードですらあまり着用することはないでしょう。
そこでここからは特に着る機会の多いブラックスーツに焦点を絞って紹介していきます。

礼服であってもボタンマナーは存在しており、ビジネススーツのボタンマナーと同様にジャケットやベストの一番下のボタンは外しておくのが一般的です。

しかし実際には厳かな場面ではすべて留めてよりフォーマルな印象に、披露宴や二次会などの宴席ではジャケットのボタンを外したりしてファッショナブルになど、その場の雰囲気で留めるか外すかを決めるのがよいでしょう。

シングルブラックスーツのボタン配置と留め方

シングルスーツのボタンマナー
シングルスーツのボタンマナー

礼服の前ボタンが真っすぐに並んだシングルスーツの場合は、礼服のボタンが1つだけの場合には留めますが、複数のボタンがついている場合は一番下のボタンを外します。

ダブルブラックスーツのボタン配置と留め方

ダブルスーツの場合のボタンマナー
ダブルスーツの場合のボタンマナー

礼服の前ボタンがダブル(2列)になっているスーツの場合は、基本的に全て留めます。
ただし、ボタンがV字状に並んでいる場合は、左上のボタンが飾りです。下のボタンのみを留めましょう。

喪服のブラックスーツにおけるボタンマナー

喪服のイメージ
喪服のイメージ

喪服としてブラックスーツを着用する場合、ボタンの留め方はお祝いの席と同じでいいのでしょうか。

シングルスーツの場合は他の場面と同じく一番下のボタンを外します。座る場合にはボタンをすべて開けるのも通常のボタンマナーと変わりません。
ベストを着用している場合にはジャケットのボタンをすべて外してもかまいません。

ダブルスーツの場合にはすべて留めて着用するのが無難です。座る際にも外さないでおきましょう。
ベストを着用している場合でも、ダブルのジャケットを着用している場合にはだらしなく見えてしまうため、ボタンは外さないほうがおすすめです。

シングル、ダブルいずれの場合にも、礼服を喪服として着用している場合は脱がないのがマナーです。

礼服でボタンダウンのワイシャツは着てもいい?

礼服で着用するワイシャツは、基本的に無地の白シャツを着用します。

結婚式や葬式、披露宴など礼服を着用する場面というのは人生の節目であったり、そこに集う人々が互いに敬意を払う場所です。
そのため礼服にはしっかりとしたルールやマナーが決められているのです。

ボタンダウンシャツのイメージ
ボタンダウンシャツのイメージ

そのような場所では、たとえば襟の先端にボタンがついているボタンダウンのワイシャツなど、カジュアルな印象の強いシャツは非常識と捉えられる可能性があります。
着用してはいけないという明確なルールはありませんが、避けた方がいいでしょう。

葬式への参列で仕事場から直行しなければならない場合には、着替えられるようにシャツを用意しておきましょう。

冠婚葬祭の場を考えて適切なボタンマナーで参加する

礼服でのボタンマナーについて、礼服の種類についても触れながら説明しました。

冠婚葬祭の場では喜びや悲しみなど感情は異なっても、その場に集う人々がひとつになり、お互いに敬意を払うフォーマルな場所です。
そのような場の雰囲気を壊さないように、最低限のマナーは守るようにしましょう。

礼服のボタンマナーについておさらい
  • 礼服にもボタンマナーはあり、1つボタンの場合は必ず留める
  • ジャケットやベストはビジネススーツと同様に一番下のボタンを外すのが基本的なマナー
  • 喪服のダブルスーツでは基本的にすべてのボタンを留め、座るときも外さない

基本的にはだらしなく見えない、スーツが傷まない、相手に失礼な印象を与えないようにマナーは決められています。
「相手に敬意を払う」という前提を忘れなければ自然とマナーを守ることができるでしょう。


参考 日本フォーマル協会
参考 飯野高広著「紳士服を嗜む 身体と心に合う一着を選ぶ」朝日新聞出版
参考 【身だしなみ】告別式にふさわしい服装・男性編:いい葬儀

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