プレタポルテ【ファッション用語】の意味と語源を解説!オートクチュールや他の意味についても

  • プレタポルテの意味や語源を知りたい!
  • プレタポルテとオートクチュールの違いは?
  • プレタポルテという言葉が複数の意味を表すって本当?

ファッション雑誌やTVなどで見かける「プレタポルテ」という言葉ですが、その意味や語源について説明できる人は意外に少ないのではないでしょうか?

今回は今さら聞けないプレタポルテの意味や語源を解説すると共に、同様によく耳にするオートクチュールとの違いや服以外でプレタポルテという言葉が使われるケースについても紹介します。

ファッション繋がりで、高級なスーツを仕立てたい!興味があるという方には「オーダースーツで失敗しないための予備知識!テーラー目線で徹底解説!」という記事もおすすめですので、合わせて読んでみてくださいね!

目次

プレタポルテの意味は「高級既製服」だが・・・

ファッション用語として用いられる「プレタポルテ」という言葉が持つ意味には

  • 「既製服」全般を表す
  • 一般的な既製服に比べて高級な既製服として区別した服を表す

単に「既製服」として使われる場合と、「高級既製服」を表す言葉として使われる場合の2種類があります。

元々はフランス語で、pret(プレ)【用意】とporter(ポルテ)【着る】という意味を持つ言葉で、直訳すると「既に用意されていてすぐ着ることができる服(既製服)」となります。

なぜ、プレタポルテに「既製服」と「高級既製服」という2つの意味があるのかを解説していきましょう。

プレタポルテは販売戦略の一環で誕生した言葉だった

プレタポルテという言葉が誕生したのは1949年で、実は「既製服」という意味を持つ言葉自体は既に存在していました。

フランスではコンフェクション、それ以外の国ではレディ・メイドという言葉が既製服という意味を持っていましたが、一般的なイメージとしては【質の悪い大量生産の服】を表す言葉でした。

この既製服に対するマイナスイメージを払拭し、他の粗悪品と差別化を図りたいと考えたフランスのヴェイユ社が販売戦略の一環として打ち出した言葉こそが「プレタポルテ」です。

チェス盤と駒の画像
プレタポルテは販売戦略の一環で産まれた言葉だった

ヴェイユ社は、新たな言葉を生み出すことにより

  • コンフェクション=一般的な既製服
  • プレタポルテ=既製服でありながらも高品質

こうした差別化を狙い、その目論見は見事に大衆の心を掴みました。

その結果、プレタポルテという新しい言葉は一気に市民権を得ることとなり、ファッション用語の1つとして「高級既製服」を表す言葉として認知されるようになったのです。

プレタポルテが浸透した結果「既製服」を表す言葉に

元々は品質が悪い既製服と差別化するための言葉でしたが、次第に縫製技術の向上により既製服でも品質が著しく悪い商品が出回らなくなっていきます。

古いミシンの画像
技術革新により既製服全体の品質が向上した

しかし言葉だけが独り歩きするかたちとなり、それまで既製服という意味で使われていたコンフェクションに取って代わり、プレタポルテという言葉が主流となっていったのです。

その結果、現在ではフランスを始めとした海外諸国では「プレタポルテ」は既製服全般を意味する言葉として使われるのが一般的となっています。

日本では元々の「高級既製服」という意味が主流

海外では既製服全般を意味する言葉に変化したプレタポルテですが、日本国内では「高級既製服」という本来の意味で使用されるのが主流です。

はっきりとした理由は判っていませんが、ヴェイユ社と同じように販売戦略やイメージ戦略を狙って、あえて高級既製服=プレタポルテとしていると考えられます。

まとめると

  • 海外ではプレタポルテ=既製服という意味が一般的
  • 日本ではプレタポルテ=高級既製服という意味が一般的

プレタポルテという言葉は、海外と国内のどちらで使われるかによって、ニュアンスが若干異なるので注意しましょう。

プレタポルテ・コレクションについて

プレタポルテという言葉が、ファッション業界で市民権を獲得したことを明確に表しているのが1960年代から開かれている「プレタポルテ・コレクション」です。

ファッションモデルの画像
現代のファッションショーはプレタポルテが主流

元々は高級ブランドが注文服(オートクチュール)を披露したり展示する目的で開かれていたファッション・ショーでしたが、現在ではプレタポルテ・コレクションの方が主流となっています。

  • パリ・コレクション
  • ロンドン・コレクション
  • ミラノ・コレクション
  • ニューヨーク・コレクション
  • 東京コレクション

上記は展示会の中でも特に規模が大きく、5大コレクションと呼ばれています。

この中で、オートクチュール・コレクションとプレタポルテ・コレクションの両方を開催しているのはパリコレのみです。

パリコレ以外はすべてプレタポルテ・コレクションとなっていることからも、ファッション業界において「プレタポルテ」という言葉がいかに浸透しているかが伺い知れるのではないでしょうか。

プレタポルテとオートクチュールは全く別の意味!

本文中にも何度か登場していますが、オートクチュールはプレタポルテとは全く異なる意味を持つ言葉です。

しかし、なぜか日本国内ではプレタポルテとオートクチュールを混同したり、同じ意味を持つ言葉だと誤認している人も少なくありません。

続いてはオートクチュールという言葉が持つ本来の意味と、なぜ日本ではプレタポルテと混同する人がいるのかを解説します。

本当の意味でのオートクチュールは認知度が低い

オートクチュールは「高級」を意味するフランス語のhaute(オート)と、「仕立服」や「縫製」を意味するcouture(クチュール)で構成された言葉です。

直訳すると「高級仕立服」となります。

一般的にオートクチュールは以下の2つの意味で使われます。

  1. サンディカ加盟店が仕立てるオーダーメイド服を表す言葉
  2. 単に「高級仕立服」を表す言葉

上記2つの意味のうち、①が「正しいオートクチュールの意味」なのですが、特に日本国内では「高級仕立服全般」を表す言葉として使われるケースの方が多いかもしれません。

パリ・クチュール組合加盟店しかオートクチュールは作れない

プレタポルテという言葉がヴェイユ社によって造られたのと同様に、オートクチュールという言葉も本来はパリ・クチュール組合が造った言葉でした。

仕立服の中でも、最高級仕立服であるとして差別化を図るために用いられたのが「オートクチュール」で、厳しい査定に合格して正式に組合加盟した店舗(メゾン)しか用いることが許されない名称だったのです。

つまり、本当の意味でオートクチュールの服を作れるのはパリ・クチュール組合加盟店のみ。

パリ・クチュール組合に加盟している有名ブランドをあげると

  • ゴルチェ・パリ
  • ジバンシー
  • クリスチャン・ディオール
  • シャネル

などがあり、前述のパリコレでもオートクチュール・コレクションの場合は、加盟ブランドか特別招待されたブランドしか参加を許されていません。

ちなみに日本人でパリ・クチュール組合に正式加盟しているのは、デザイナーの森英恵さん唯一人となっています。

国内では間違った意味が主流となっている「オートクチュール」

日本国内における「オートクチュール」の意味は、高級仕立服全般を表す場合が多いかもしれません。

やはり、販売戦略やイメージ戦略などで言葉だけが独り歩きしている結果だとは思いますが、本来はパリ・クチュール組合加盟店で仕立てた服を意味する言葉です。

単にオーダーメイドで仕立てた服をオートクチュールと呼称するケースが多いため、ある意味ではオートクチュールには「高級仕立服全般」を表す側面もあると認識しておくと良いかもしれません。

日本ではファッション用語が、本来の意味とは異なる意味やニュアンスで使用されるケースが少なくありません。

  • プレタポルテは高級既製服
  • オートクチュールは高級仕立服

どちらも同じ「高級な服」を表す意味だからこそ、ファッションに疎い方や誤解を生む宣伝文句によって両者を混同して覚えてしまう人がいるのです。

プレタポルテという言葉が別の意味を表すケース

ファッション用語として意味や語源を解説してきましたが、プレタポルテという言葉が全く別の意味を表すこともあるので簡単にまとめて紹介しておきましょう。

靴を扱うブランド「プレタポルテ」

プレタポルテというブランド名を持つ靴メーカーがあります。

パンプスの画像イメージ
パンプス(画像はイメージです)

パンプスなどが人気で、快適性とリーズナブルな価格で主に若い女性を中心に人気となっているブランドです。

香水の世界では「完成品」を意味するプレタポルテ

ファッション業界と近い位置にある香水の世界。

実は香水業界にも「プレタポルテ」という言葉があり、その意味は「完成品」となっています。

香水とバラの花びら
プレタポルテには完成品の香水という意味もある

自分好みに香りを調合するよりも、既製品を購入する機会の方が圧倒的に多い香水ですが、調合済みで完成された香水をプレタポルテと表現することがあるので覚えておいて損は無いでしょう。

映画「プレタポルテ」

プレタポルテという1994年に公開されたアメリカ映画もあります。

映画館の幕の画像
映画「プレタポルテ」はパリコレを舞台とした作品

パリ・コレクションを題材とした内容となっているので、言葉の意味自体はファッション用語として使われるプレタポルテと同じですね。

デザイナー・モデル・カメラマンなど、関連するさまざまな職業の視点からみたパリコレを描いた群像劇となっています。

俳優だけでなく、有名人やデザイナーも多数出演していることでも話題となった作品なので、ファッションに強い関心がある方は視聴してみるのも良いかもしれませんね。

プレタポルテの表す意味を正しく読み取ろう!

プレタポルテという言葉には単に「既製服」を表す場合と、「高級既製服」の意味を持つ場合の2通りがあります。

ネットショッピングや海外旅行中に買い物をする場合は、プレタポルテがどちらの意味で使われているのかを正しく理解することが大切です。

おさらい
  • 海外では一般的な既製服をプレタポルテと呼ぶのが一般的
  • 国内では高級服を表す意味で使われるのが一般的
  • オートクチュールは全く別の意味を持つ言葉なので混同に注意
  • 映画やブランド名にも「プレタポルテ」がある

国内と海外ではファッション用語のニュアンスが異なるケースがあるため、海外旅行や外国人との会話では意味を使い分ける必要があるかもしれません。

特に高品質の服を購入する際には、言葉の意味を正しく理解していないと損をしてしまう恐れもありますので要注意です。

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