- スーツのインナーにダウンを着るのはマナー違反?
- ビジネスシーンでインナーダウンを選ぶときの注意点が知りたい
- インナーダウンを選ぶポイントは?
スーツのインナーにダウンベストを重ねたコーディネートを見ることが、近年増えてきました。
登山・アウトドアでは、防水性が低いダウンジャケットをインナーに着るスタイルはよくありましたが、スーツに取り入れている人を初めて見た時は驚いたことを覚えています。
近年、薄型のダウン(ダウンベスト)がリーズナブルに提供されるようになり、スーツに限らずあらゆる服のインナーにダウンを取り入れる「インナーダウン」がごく一般的になってきました。
スーツに重ねることでウォームビズにもなりますが、どの程度ビジネスシーンで取り入れてよいものなのでしょうか。
この記事では、スーツでのインナーダウンについてくわしく解説します。
寒い冬を乗り切るインナーダウンの知識とおすすめポイントをご紹介していますので、ぜひ最後まで読んでください。
スーツの肌着を含むインナー全般についてはスーツのインナー(メンズ肌着)でもご紹介しています。
スーツでの「インナーダウン」とは
スーツでのインナーダウンとは、薄型で柔らかい素材のダウンが量産されるようになった近年に急速に広まったもので、ジャケットの下(インナー)にダウン素材のベストなどを着るスタイルのことです。
オフィスの暖房温度を下げるウォームビズ運動もインナーダウンが広がる大きなきっかけになりましたが、どのような着こなしをするとよいのでしょうか。
そもそも「ダウン」とは
スーツのインナーとして冬の定番となりつつあるダウン素材ですが、そもそも「ダウン」とはどのようなものでしょうか。
本来の「ダウン」とは水鳥の羽根と羽根の間に生えているダウンボール(綿毛)のことですが、現在は、ナイロンなどの合成繊維を使った生地の中に、軽い綿状のものを入れたものの総称を「ダウン」「ダウン素材」と呼んでいます。
- ダウン(ダウンボール)
- 水鳥の羽根と羽根の間に生えている羽軸を持たない球状の綿毛
- 軽量で、吸放湿性・保温断熱性が高い
- 量があまりとれず、希少で高価
- フェザー
- 水鳥の翼のなど(外から見える部分)に生えた羽軸を持つ羽根のこと
- ダウンボールと比べると重く、保温性も劣る
- 張りのあるボリューム感が出る
- ナイロン・ポリエステルなど(中綿)
- ポリエステルなどの合成繊維で人工的に作った綿状のもの
- 天然素材のダウンボールと比べると吸放湿性・保温断熱性は劣る
- 量産できて安価
衣類に採用される場合は、素材を混ぜていることが多く、中綿:ダウン〇%・フェザー〇%・ナイロン〇%といったように表示されています。
一般的にダウン含有量が多いほど軽量で上質なものとされているので、購入時のチェックポイントとして覚えておきましょう。
スーツにインナーダウンは失礼?
スーツのインナーにダウンを着ると失礼になるのでは、と心配されるのは、ダウンとは本来アウトドア要素の強いものだったからです。
近年はオシャレアイテムとして取り入れる人も多く【ダウン=アウトドアカジュアル】といった印象も薄くなってきましたが、まだまだ新しい着こなしではあるので、正統派の着こなしをするシーンでは失礼に感じる人が多いのも事実です。
ビジネスであっても商談や面接などの重要なシーンでは着用しないほうがいいので注意しましょう
インナーダウンをおすすめする理由
スーツのインナーにダウンをおすすめするのには理由があります。
インナーダウンおすすめポイント
- 暖かく、蒸れない(吸放湿性・保温断熱性がある)
- 軽い
- スナップボタンの製品が多く着脱しやすい
- コンパクトに収納できる(素材による)
- 私服でも着回しできる
- 自宅でも洗濯できる(素材による)
暖かさに加え、コンパクトに収納できる点がとくに優れており、男女問わず選ばれている理由です。
着回しもでき、1着持っていると急な寒さにも対応できるため、便利です。
スーツのインナーにダウンを取り入れるポイントを解説
スーツのインナーダウンはダサいかも?と心配されることもありますが、ダウンを着ること自体はダサくはありません。
老若男女がダウンを着る時代になったことで、着こなしや形を間違うと「庭仕事で着ているようなダサさ」になることもあるのです。
ここでは、ビジネスシーンでのダウン着用ポイントを解説します。
寒くてもアウターとしては要注意
スーツのインナーに防寒着としてダウンは取り入れやすいですが、アウターとしてダウンベストやダウンジャケットを着る場合は注意が必要です。
アウターでダウンベスト・ダウンジャケットを着用すると、カジュアルな印象になります。
通勤スタイルでは問題ないケースが多いのですが、客先訪問や一流ホテルでの会食などのシーンには向かないこともあります。
インナーダウンはシーンに合わせて着脱ができますが、アウターは防寒着として主役になるため、より注意して着用しましょう。
スーツ着用時、アウターとして“スタンダード”とされるのはウール素材などのコートです。
ダウンを取り入れる場合は、ツヤのない落ち着いた色合いや、着丈の長い「ダウンコート」を選ぶなど、カジュアルになりすぎないよう意識しましょう。
インナーダウンはベストタイプを【形状について解説】
スーツのインナーダウンには「ベスト」の襟なしタイプを選びます。
ジャストサイズで購入したスーツのシルエットに影響しないよう、薄手のダウンにすることも重要です。
インナーダウンベストを選ぶポイント
- 薄手のダウンベスト
- 体に合ったサイズ・スッキリしたシルエットのもの
- 襟は深いVネックにするとカジュアル度が低くなり、おすすめ
ビジネスシーンでのおすすめは黒?【色と素材感について解説】
スーツのインナーダウンは黒をおすすめされることが多いのですが、素材感によっては注意が必要です。
スーツのインナーダウンにアウトドア要素はNG
登山・アウトドアでのウェアは危機管理の面から派手な色が多いのですが、スーツのインナーダウンには落ち着いた色のアウトドア要素が強くないものを選びましょう。
アウトドア要素が強いダウン
- 派手な色・柄
- 中綿が多く、ボリュームのあるもの
- ツヤのある素材
- ブランドマークが正面から見え、目立つもの
インナーダウンにおすすめの色
「黒・紺・グレー・茶」などの落ち着いた色は、ダークカラーの多いスーツに合わせやすくなります。
品揃えが少なく、着ている人も多くありませんが「白(オフホワイト)」も印象は悪くありません。
「黒」はダウンとして品揃えが多く、着回しもしやすいので、1枚持つとしたら黒がおすすめです。
縫い目(キルティング加工)
ダウンを選ぶとき、キルティング加工の縫い目で悩むかもしれません。
中に入れた中綿の偏りを防ぐために必要なものですが、ルールのような決まりはありません。
ビジネスシーンでは縫い目はどれでもOKです。ボリューム感や好みで選びましょう。
GINZA SAKAEYAのオーダーダウンベストがおすすめ
ダウンベストはオーダーでも作ることができます。
市販のダウンベストは、ビジネスシーンで着用するには”もう一歩”足りないことがあります。
- 「スマートな着こなし」と「防寒」を叶えるちょうど良いボリュームのものが無い
- 生地が薄く、安っぽく見える
- カジュアルな印象になり、大切なシーンでは着られない
GINZA SAKAEYAのオーダーメイドダウンベストは、
- デザイン
- 生地
- サイズ・中綿(ダウン量)
- 裏地・ボタン(ファスナー)
を試着しながら指定して作ることができる、上質なオーダーダウンベストです。
オーダースーツをメインに扱っているので生地の品揃えが多く、表地となるCloth Ermenegildo Zegna生地によって価格設定が変わります。
A | 90,000円(+税)〜 | ループ等 |
B | 100,000円(+税)〜 | トラベラー等 |
C | 120,000円(+税)〜 | ハイパフォーマンス等 |
D | 130,000円(+税)〜 | エレクタ等 |
E | 140,000円(+税)〜 | トロフェオ、ジャージ等 |
F | 200,000円(+税)〜 | ミルミル15 |
G | 250,000円(+税)〜 | ミルミル14、プレミアムカシミア等 |
上質な生地であることはもちろんですが、ラグジュアリーブランドのオーダーダウンベストと比べると価格が安いこともおすすめのポイントです。
上着とのバランスを考えてダウン量を調整できるので、スーツのシルエットを崩さず、スリーピーススーツのような自然な着こなしにすることもできます。
インナーダウンを着たことがない方も、オーダーメイドダウンベストでスーツスタイルに取り入れてみてはいかがでしょうか。
くわしくはこちら≫ゼニア生地 オーダーダウンベストからご確認ください。
シーン別インナーダウン着用のポイント
インナーダウンを着用してはいけないシーンや気を付けるポイントを解説します。
就職活動
転職・新卒問わず、就職活動時のスーツのインナーにはダウンは着ないようにします。
ダウンは年代によってはアウトドア・カジュアルな印象がまだ強く、面接などの重要なシーンには向きません。
寒い場合は発熱素材の肌着・コート・カイロなどで防寒するようにしましょう。
礼服・フォーマルシーン
礼服でのインナーダウンは基本的にはNGです。
フォーマルウェアにはルールがあり、ダウンに限らずルールに無いものを身に着けることはやめておきましょう。
ただし、ガーデンウェディングなどのカジュアルな屋外パーティでは着ても失礼にはならないこともあります。
季節・シーンを考えて検討してください。(心配な場合は主催者に確認をとるとよいでしょう)
喪服
喪服としてのスーツでもインナーダウンは基本的にNGです。
「カジュアルな印象になる」ことが理由であり、「水鳥の羽根を使っている(殺生を連想させる)」ことまでは衣類の中綿という点を考えると、気にしなくてもよいでしょう。
ただし、喪服や葬儀のあり方には地域性・葬儀規模の差があります。
故人や喪主との関係性によっても、どの程度マナーを重視した喪服であるべきかは変わってくるものです。
例えば、雪が降る夜に高齢者が喪服の下にダウンベストを着て通夜に来られたとして、不快に思う方は少ないのではないでしょうか。
基本は着ないものという認識を持ちながら、状況にあわせて判断しましょう。
寒い季節を乗り切るためにインナーダウンを取り入れてみては
スーツはインナーに暖かい素材や冷感素材のものを取り入れることで、体感温度が変わってきます。
体温を調整するという点ではアウターより重要視されることもあり、季節を問わずスーツ着用時のインナーのバリエーションは増えています。
クールビズ・ウォームビズも当然のこととなり、インナーにTシャツやニットを合わせることも受け入れられるようになってきました。
ダウンなどの新しい素材はマナーブックなどに記載されておらず、悩むこともあるかもしれませんが「スーツの品位を損なわないか」をベースに考ましょう。
- 商談・面接など、重要なシーンでの着用は避ける
- 体に合ったサイズのベスト(薄手)を選ぶ
- 深いVネックが合わせやすい
- マットな質感のダークカラーにする
- オーダーダウンベストもおすすめ
私服でも着回しができ、コンパクトに収納できるインナーダウンは、物価高騰の影響や物を持たないシンプルな暮らしを重視する現代社会のニーズに合ったものといえます。
これまで着たことのない方も、スーツのマナーを重視しながら取り入れてみてはいかがでしょうか。