- スーツのダブル裾とシングル裾の違いを知りたい
- シーンごとに適したスーツの裾や選び方を教えて
- スーツの裾を直すときの費用や方法は?
スーツの裾部分には、折り返しが無いシングルと折り返しがあるダブルがあります。
あまり気にする部分では無いかもしれませんが、着用シーンによってはマナー違反や失礼に思われてしまうこともあるので注意が必要です。
この記事では、スーツの裾を折り返すダブルについてシングルとの違いや特徴、さらには費用やどんなシーンに向いているかなどを詳しく解説します。
他にも自分で裾直しをする方法などにも触れていますが、スーツの補修については画像と共に詳しく解説している記事もあるのでセルフでお直しを考えている方はぜひチェックしてみてください。
スーツの裾には「ダブル」と「シングル」がある
スーツの裾部分の形状には、生地が折り返された状態で縫製された「ダブル」と、折り返しが無い「シングル」の2種類があります。
裾の形状がちょっと違うだけで大きな差は無いと考えてしまいがちですが、実はシングルとダブルでは印象や適した着用シーンが異なるので注意が必要です。
ちなみに裾の形状を意味するダブルは、ジャケットの形状が異なる”ダブルスーツ”とは関係が無いので混同しないように注意しましょう。(ダブルスーツだからと言ってパンツの折り返しもダブルとは限らない)
ダブルスーツについて詳しく知りたい方は、特集記事があるので下記からぜひチェックしてみてください。
スーツのダブル裾とシングル裾の相違点と特徴
前述の通りスーツの裾にはダブルとシングルの2種類があります。
それぞれの違いや特徴は以下の通りです。
種類 | 仕上げの特徴 | 印象 | 着用シーン |
---|---|---|---|
シングル裾 | 折り返し無し | スタイリッシュ フォーマル | ビジネス フォーマル |
ダブル裾 | 裾が2~4cmほど 折り返して縫製 | クラシカル カジュアル | ビジネス カジュアル |
裾の折り返しが無いシングル裾は、一般的なビジネススーツだけでなく礼装であるタキシードなどでも採用されている形状で、ビジネスからフォーマルまで幅広いシーンで着用できます。
一方、折り返しのあるダブル裾はどちらかと言えばカジュアルな印象になるため、ビジネスシーンやカジュアルシーンでの着用が良いとされています。
ダブル裾の起源
19世紀~20世紀初頭、英国の上流階級や貴族の間で流行っていた遊びが乗馬やボートで、裾が泥や水で濡れたり汚れたりするのを防ぐために折り返したのが起源と言われています。
外遊びでの装いから派生したという背景から、ダブル裾は現代の服装マナーでもカジュアル寄りの装いに分類されているため、フォーマルな場では避けた方が無難です。
前項でも軽く触れていますが、フォーマルな印象が強いダブルスーツと混同して、ダブル裾もフォーマルな印象であると勘違いしやすいので注意が必要です。
スーツの裾をダブルかシングルか選ぶタイミングとは?
基本的にスーツの裾をダブルかシングルか決めるタイミングは以下の通りです。
- スーツ購入時(裾上げ)
- オーダースーツの採寸時(裾の形状や折り返し幅の決定)
- スーツの補修時
既製品のスーツなら購入したお店で裾上げをするタイミングで、オーダースーツなら採寸の段階でシングルかダブルかを選ぶことができます。(折り返し幅も合わせて決めます)
ダブル裾のスーツはどんなシーンで着用すべきか
基本的にビジネスシーンやカジュアルシーンでの着用が適しているダブル裾のスーツですが、どんな場面やスタイルが適切なのか詳しく解説します。
ダブル裾のスーツが向いている場面・スタイルとは
ダブル裾が映える主なスタイルや場面は以下の通りです。
- ビジネスシーン(クラシカルなスタイルと相性◎)
- ジャケパンスタイル
- カジュアルなパーティーや食事会など
それぞれについて詳しく解説していきましょう。
トレンドのクラシカルな英国風スーツスタイル
ここ数年のトレンドとして注目が集まっているのが、クラシカルな英国調のスーツファッションです。
英国紳士を想起させるようなクラシカルなシルエットや色柄のスーツスタイルとダブル裾のパンツは相性が良いのでおすすめです。
カジュアルな印象が強いジャケパンスタイルにも合う
色柄や素材感が異なるジャケットとパンツを組み合わせるジャケパンスタイルの場合も、カジュアルな印象を持つダブル裾の着用が向いています。
ジャケパンについては、着こなしのポイントから具体的なコーデまで詳しく解説している特集記事があるのでぜひ下記から合わせてチェックしてみてください。
ラフに参加できるパーティーや食事会ならダブル裾でもOK
ダブルの裾はカジュアルな印象が強いため、フォーマルな場には不向きであるとお伝えしましたが、例えば仲間内で行うパーティーやちょっとした食事会への参加なら特に問題ありません。
ダブル裾のスーツが不適切な場面に注意
逆に以下のような場面ではダブル裾のズボンで出席するのは避けた方が無難です。
- 結婚式や葬儀などの冠婚葬祭
- 礼服での出席が求められている場合
- 格式が高い式典や公的行事など
それぞれの場面について詳しくみていきましょう。
結婚式や葬儀に出席するときはダブル裾を避ける
結婚式や葬儀のようにフォーマルな装いでの出席が求められる場では、ダブル裾のズボンを着用しての参加は避けた方が良いといえます。
喪服や礼服はフォーマルな装いなので、服装マナー的にはシングル裾が正解で、カジュアル感が強いダブル裾は不適切とされています。
ただし例外として急な訃報で職場から通夜へ駆けつけたときや、服装の自由度が高い結婚式の二次会ならダブル裾のスーツで出席しても問題ありません。
正礼装や準礼装など服装に指定がある場合
式典やパーティーによってはドレスコードが定められていることは少なくありません。
正礼装(フォーマル)や準礼装(セミフォーマル)なら当然ダブル裾は避けるべきです。
ただし略礼装や平服での出席が認められている場合なら、パーティーの格式によってはダブル裾でも出席が可能なケースもあります。
入学式や卒業式などの式典や行事
比較的堅い服装での出席が求められる式典や行事の場合も、ダブル裾は避けた方が良いといえるでしょう。
身近なところで言えば子供の入学式や卒業式などの式典へ出席するときなどです。
基本的にダブル裾はフォーマルシーンには不適切、と覚えておきましょう。
スーツの裾をダブルにする方法や費用の目安
続いては、スーツの裾をダブルにしたいときはどこに頼めば良いのか、いくらぐらいの費用がかかるのかについて解説します。
一般的な裾直しと料金相場
スーツの裾上げやお直しは、スーツ量販店やテーラーなどの専門店での対応が一般的です。
単に裾を詰めるシングル裾よりも、折り返して縫製するダブル裾の方が工程が多くなるため割高になります。
費用の※目安は、シングル裾なら1,000円~1,500円、ダブル裾なら1,500円~2,500円ほどが一般的な相場です。(※地域や店舗によって価格は変動)
自分でダブル裾にすることは可能か?
安価なスーツ量販店であっても、裾直しや裾上げは基本的にスーツ代とは別途費用が発生します。
余計なお金をかけたくない!という場合、ミシンや手縫いに慣れている方なら自分でダブル裾にすることも可能です。
ただし以下のような理由から、自分でスーツの裾上げや裾直しをするのはおすすめしません。
- 折り返しの幅や裾の長さなど左右のバランスが難しい
- 折り返し部分の厚みや縫い目が目立たないようにするのが難しい
- 仕上がりが悪いとスーツ全体の着こなしや印象が損なわれる
見た目の完成度を重視するならプロに任せた方が間違いないので、スーツ購入時やお仕立てのタイミングでそのままお任せするのがベストです。
スーツの裾はあとから変更できるのか?
スーツを購入したりお仕立てするときに決めた裾を、あとから違う形状に変更したくなったときはどうすれば良いのでしょうか?
ダブル裾→シングル裾への変更は可能
基本的に裾部分を折り返しているダブル裾なら、後からシングル裾へ変更すること自体は難しくありません。
この場合、折り返し部分をほどいてシングル裾に縫製しなおすことになります。
ダブル裾からシングル裾へ変更する場合の費用や注意点
- 折り返し部分の跡が残ってしまう恐れがある
- 生地の余り部分が少ないと仕上がりが不自然になることも
- 費用として2,000円~3,000円程度かかる
フォーマルシーンでも着用したいときなど、お気に入りのスーツをシングル裾にお直ししたくなるケースはあると思いますが、必ずしも綺麗に仕上がるとは限らない点や費用がかかる点には注意が必要です。
シングル裾をダブル裾に変更は可能か?
気に入っていたスーツをカジュアルダウンして普段使いしたいときなど、状況は限られますがシングル裾をダブル裾に変更したいと考えることがあるかもしれません。
結論から言うと、難しいケースや不可能なケースもありますが、条件や方法によってはシングル裾をダブル裾に後から変更することも可能です。
基本的にスーツの裾はワンクッション(靴の甲に触れる程度の長さ)で仕上げることが多いため、後からダブル裾に変更すると裾が短くなりカジュアルな印象がより強くなります。
あまり一般的な手法ではありませんが、ズボンと同じ生地があれば裾に縫い合わせて折り返さずにダブル裾にすることも可能です。
スーツをダブル裾にするときのポイントと注意点
ズボンの裾をダブルにするときのポイントは「裾の長さ」と「裾の幅」です。
まずダブル裾にするなら、くるぶしまわりのボリュームが増すことを踏まえて長さはワンクッションかハーフクッション(靴の甲に裾が少し触れる程度)がおすすめです。
裾が長すぎると野暮ったい印象になってしまい、短すぎるとカジュアル感がかなり強くなってしまうため、着用シーンが限定的になる恐れがあります。
標準的な折り返し幅は3.5cm~4cm程度ですが、足のラインが強調されるような細身のシルエットなら幅を狭くした方がバランスよく見えます。
折り返し幅は太くなればなるほどカジュアル感が増す一方で、足が短く見えてしまうというデメリットもあるので注意しましょう。
スーツのダブル裾に関連したよくある質問(Q&A)
最後に、スーツのダブル裾に関連したよくある質問や疑問の声を回答と共に紹介します。
- ダブルの裾にすると短足にみえると聞いたのですが?
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記事内でも触れていますが、ダブルの裾は折り返し部分によって視覚的な切り返しができてしまい、相対的に脚が短く見えてしまう可能性があります。
以下のような対策が効果的です。
- 裾をやや短めにする
- 折り返し幅を狭くする
- 細身のシルエットのズボンを選ぶ
他にも、ジャケットの丈を少し短めにしたりスラックスの股上を深くするなども脚長効果が期待できます。
- ダブル裾にはどんなメリットがありますか?
-
ダブル裾のスーツは、フォーマルな場では着用しづらくなってしまうというデメリットがありますが、以下のようなメリットもあります。
- アクティブなイメージを与える
- 足元にボリュームが出て統一感が増す
- トレンドのクラシカルなスーツと相性◎
- オフィスカジュアルなどラフなスーツコーデにもおすすめ
堅苦しいイメージになりやすいスーツコーデをカジュアルダウンする効果だけでなく、トレンドのクラシカルなスーツスタイルに合わせることで重厚で男らしい印象を高める効果も期待できます。
- 喪服や礼服はダブル裾だと聞いた気がするのですが?
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結論から言うと間違いですが、意外に勘違いしている人が多いのも確かです。
記事冒頭でも軽く触れていますが、礼服や喪服はジャケットが4つボタンや6つボタンのいわゆる「ダブルスーツ」が多くなっています。
ダブル=フォーマルというイメージが先行してしまい、ダブル裾もフォーマルだと勘違いしがちですが、実際には逆でダブル裾はカジュアルな印象が強まる装いなので冠婚葬祭では原則NGです。
マナーや用途でスーツの裾はダブル・シングルで使い分けよう!
スーツの裾を選ぶときは、見た目やマナー・着用目的によって正解が変わります。
基本的にフォーマルな場での着用も考慮するならシングル裾、カジュアルシーンやクラシカルなスーツスタイルを楽しむならダブル裾が適しています。
- ダブル裾はカジュアルな印象が強まる!
- フォーマルな場にダブル裾は基本NG
- 裾の長さや幅の選び方を間違うと脚が短く見えるので要注意!
スーツの服装マナーでよく耳にする「ダブル=フォーマル」を勘違いして、ダブル裾で冠婚葬祭や式典に出席してしまうと思わぬ恥をかいてしまうかもしれません。
裾のデザインが違うだけで、着こなし全体の印象は想像以上に変わるものです。
TPOに適した裾を選んでシーンごとに最適なスーツファッションを楽しみましょう!