スーツに毛玉が出来てしまう原因と対処法をテーラー目線で解説!NG行為や注意点についても

  • スーツの毛玉取りで生地が傷まないか心配!
  • スーツに毛玉ができない方法ってないの!?
  • スーツに大量の毛玉が・・生地を傷めず復活させる方法を教えて!

毎日スーツを着用していると、いつの間にか毛玉が出来ていることに気付いてガッカリすることありますよね。

気になってしまい、ブチブチとその場でむしりとったりすると大切なスーツが傷むので適切な処置が必要です。

実際、テーラーでもスーツに発生する毛玉の処理についてご質問されるお客様は多いのですが、話を聞いてみると普段のメンテナンスや着用方法に原因があるケースは少なくありません。

そこで今回は、スーツに毛玉が発生するメカニズムから適切な対処法までを詳しく解説します。

ただし毛玉が大量に発生してしまった場合や夏物で生地が極端に薄い場合など、自力では対処が難しい場合はクリーニング店などプロに任せるようにしましょう。

スーツの毛玉処理などメンテナンスも行ってくれるスーツのクリーニングについては、下記記事で出し方から注意点まで詳しく解説していますので目を通してみてください。

目次

スーツに毛玉が出来る原因を知っておこう!

スーツに限らず、衣服に毛玉が発生する原因は【摩擦】にあります。

厳密に言えば、摩擦と刺激によって起こる静電気が毛玉を作り出しているのです。

スーツ(衣類)に毛玉ができるメカニズム

衣服は着用していれば大なり小なり摩擦が生じてしまいます。

スーツ着用時は摩擦が必ず起こる
スーツ着用時は摩擦が必ず起こる

この摩擦と刺激によって発生する静電気により、生地表面では目視できなくとも毛羽立ちが無数に発生します。

摩擦や静電気で生地表面は毛羽立つ
摩擦や静電気で生地表面は毛羽立つ

この毛羽立ちがさらに摩擦や静電気にさらされると、細い繊維同士が絡まりあって集合体、つまりは毛玉になるのです。

毛羽立った繊維の集合体が毛玉の正体
毛羽立った繊維の集合体が毛玉の正体

スーツに毛玉が出来てしまう原因は摩擦と静電気!

  • 着用時の摩擦や静電気で生地表面が毛羽立っている(目には見えなくても起こっている)
  • 毛羽立ちの繊維同士がまとまったものが毛玉の正体!

摩擦が起きやすいスーツの脇(良く動かす腕と擦れる)や、お尻部分に毛玉がよく発生するのはこうしたメカニズムを知れば納得できますよね。

スーツで毛玉になりやすい部位

摩擦が原因で発生する毛玉は、ジャケットなら脇や腕(脇と擦れる内側が特に)、さらに椅子の背もたれと擦れやすい背中部分などは要注意です。

スラックスならお尻や太ももの内側は毛玉が特に発生しやすい部位となります。

他にも特定の行動が原因で毛玉が発生しやすくなっている場合もあります。

例えば、カバンをいつも同じ手で持っている人なら毛玉が右側(または左側)に集中して発生するなどです。

普段の行動を思い返して、摩擦による負担を増やす行動を意識的に減らすことで毛玉の発生を少なくすることができますよ。

スーツ生地で毛玉の発生頻度は異なる

スーツに使われている生地によって、毛玉の発生頻度はかなり変わってきます。

結論から言うと、化学繊維が使われているスーツは毛玉が発生しやすいです。

前述で解説した通り、毛玉を作る原因は摩擦と”静電気”なので、アクリルやポリエステルなど静電気が起こりやすい素材は毛玉も発生しやすくなってしまいます。

逆にウールなど静電気が発生しにくい天然素材で作られたスーツは、毛玉が発生しにくいと言えるでしょう。

安価なスーツがダメという訳ではありませんが、長く着ることを見据えるなら購入時から素材にも注目して少し良いスーツを選んだ方が結果的にはお得かもしれません。

テーラーがおすすめする毛玉の処理方法

スーツに毛玉が出来ているのを見つけて、引っ張って取るのは絶対にやってはいけないNG行為です。

毛玉は生地表面の繊維が絡まって出来たものなので、無理に引っ張ると絡んだ繊維を一緒に引っ張ることになります。

スーツの毛玉は引っ張らないで!
スーツの毛玉は引っ張らないで!

必要以上に繊維を傷つけてしまうばかりか、最悪の場合はスーツ生地に破れや穴が生じてしまう恐れがあるので適切な処理で毛玉の除去をするようにしてください。

毛玉取りで破れや穴が起きることも
毛玉取りで破れや穴が起きることも

では、大切なスーツを生地を傷めることなく毛玉処理するにはどうすればよいのでしょうか。

基本的に、スーツに付いてしまった毛玉の処理は【カットする】という方法が最適です。

毛玉の量が少ないなら服飾用の糸切ばさみなどを使い、1か所ずつ丁寧に毛玉部分だけをカットして除去します。

糸切ばさみが無ければ普通のハサミでも大丈夫!
糸切ばさみが無ければ普通のハサミでも大丈夫!

糸切ばさみが無いときは普通のハサミでも大丈夫ですが、なるべく小さいハサミを使って生地部分を傷つけないように注意しながらカットしていきましょう。

毛玉が多いときは、市販されている毛玉取り器を使うという選択肢もあります。

スーツ生地へのダメージを考えれば手仕事が最もおすすめですが、時間が無い場合や毛玉の量が多いときは毛玉取り器を使ってください。

カッターなどの刃物を使って毛玉を取るのはダメです。

一見すると毛玉部分だけをカットしているように見えますが、実は生地の繊維を傷つけていて逆に毛玉の原因を増やす結果になりかねません。

スーツの毛玉をカットするときのポイント!

  • 毛玉部分だけをカットするのが理想!切る時は毛玉をピンポイントで狙う意識で
  • 切れないからと無理に引っ張るのは×
  • 面倒でも丁寧な作業がスーツ生地を傷めないポイント!

上記のポイントを踏まえた上で、スーツの毛玉取りに役立つ身近なアイテムがあります。

それは、どこのご家庭にも1つはある「爪切り」です。

爪切りの構造上、絡まった繊維のダマになった部分(毛玉)を狙い撃って綺麗にカットするのに最適。

爪切りで毛玉を除去するときも、ポイントは一緒で必ず”切る”という動作を意識して行ってください。

中々切れないからと爪切りで毛玉を挟んだまま引っ張るのは厳禁で、何度か歯を噛み合せてしっかりと切って除去すればダメージを最小限に抑えて毛玉を除去できるので是非トライしてみてくださいね。

スーツの毛玉を予防するメンテナンスが重要!

ここまではスーツに毛玉が出来てしまったときの対処法をお伝えしましたが、ここからは予防のために普段から出来ることを解説していきます。

スーツメンテナンスの基本”ブラッシング”の重要性

スーツを長持ちさせる秘訣は何ですか?という問いに対し、答えは色々あると思いますがブラッシングの重要性について疑いを持つ人は居ないはずです。

実は、スーツの毛玉を抑えるという観点でも日々のブラッシングはとても効果的。

毛玉が出来るメカニズムでも解説しましたが

繊維が毛羽立つ→それがまとまる→毛玉になる

この流れを、最初の時点で食い止めてしまえば毛玉は簡単には発生しなくなるのです。

日々のブラッシングが毛玉を防ぐ
日々のブラッシングが毛玉を防ぐ

ヘビロテは毛玉を作る大きな原因!

摩擦や静電気が毛玉の原因である以上、同じスーツをヘビーローテーションするのも控えた方が良いと言えます。

スーツを長持ちさせるために「複数を着まわして負担を減らす」のは基本です。

いくら毎日ブラッシングをかけていても、汗を吸った水分が乾ききる前に着用・・という無理を強いればスーツへの負担が蓄積されて痛んでしまいます。

最低でも1シーズンに2着、できれば3~4着を着まわしてダメージや汚れが蓄積しないようにすることも、毛玉の予防に繋がっていきます。

毛玉が多いときは無理せずプロに任すという選択を!

スーツ生地に使われている素材や、埃っぽい場所で長く保管していた場合など、目立つほど毛玉が出来てしまったときは無理に自分で処理をせず、クリーニング店などプロに任せましょう。

高級スーツなど繊細な生地が使われている場合なども、プロに任せてしまった方が安心できます。

例えば高級ブランドのクリーニングも手掛けるハッピーケアメンテなら、クリーニングとは別にオプションで毛玉取り(3,960円~)を頼んで新品同様に復活させることも可能です。

高級スーツのクリーニングについては、過去記事でも詳しく解説していますので気になる方は目を通してみてくださいね。

スーツの毛玉はしっかりカットして処理しよう!

スーツに毛玉が出来てしまう原因は、着用時の摩擦と静電気です。

着る機会を減らしたり摩擦で負担をかけている行動を変えるだけでも、発生を抑制することに繋がります。

出来てしまったスーツの毛玉は、生地を傷つけないように毛玉だけをしっかりとカットして処理しましょう!

おさらい
  • 毛玉発生の原因となる摩擦などの負担はなるべく抑えるようにしよう!
  • スーツはヘビロテ厳禁!日々のブラッシングと適切な着用頻度が毛玉の予防に繋がる
  • 手に負えないと判断したら迷わずプロにお願いしよう!

高級スーツを着用している人は、たかが毛玉と自分で処理をすると高額なスーツに深刻なダメージを与えてしまう恐れがあるので慎重に。

無理だと判断したときは、クリーニング店などプロに相談して毛玉を処理することをおすすめします。

スーツクリーニングについては、過去記事で出し方から注意点まで詳しく解説していますので、気になる方は目を通して頂ければ幸いです。

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