- オーダースーツの値段がお店によって全然違う理由が知りたい!
- オーダースーツの相場や予算に応じたお店選びを教えて!
- 最高のコスパでオーダースーツを作る方法やポイントってある?
オーダースーツの値段を調べると、同じブランドなのにお店によって全然違うのを見ると戸惑いますよね。
明らかに値段が安いお店だとスーツの仕上がりや品質に不安を感じてしまうし、逆に高額なお店だと騙されてるのかも・・と不安になってしまいます。
しかしオーダースーツの値段を決定づける要素や、平均相場を知っておけば自信を持ってお店を吟味して満足できる1着が作れるというものです。
そこで今回は、オーダースーツの値段が異なる理由とお店選びのポイントを徹底解説します。
初めてオーダースーツを作る方や過去に作ったけどあまり満足出来なかった!という方は、オーダースーツについて詳しく解説している記事もあるので合わせて読んでみてくださいね!
オーダースーツの値段は何で決まる?
オーダースーツ、つまり特注品で自分の体型に合わせて作ったスーツは既製品より割高だというイメージがあると思います。
確かにその場で購入できる既製品に比べて採寸や縫製などの”手間賃”や”工賃”の分、値段は少し高くなります。
問題は、少し高く支払っている”手間賃”に見合った仕上がりのスーツを手にすることができるか?です。
オーダースーツの値段を決定づける要素は主に3種類あります。
1つはオーダーシステムの違い、そして後述するブランドと生地の違いです。
オーダーシステムの違いと値段の関係性については、オーダースーツについて解説している過去記事で詳しく解説しているのでここでは簡単な説明だけに留めておきます。
オーダーシステム | 値段 | 仕上がり | 納品までの期間 |
---|---|---|---|
パターンオーダー | 安い(2~6万円程度) | 既製品+α程度 | 2週間~3週間 |
イージーオーダー | 普通(5~20万円程度 | 良い | 3週間~1か月程度 |
フルオーダー | 高い(10万円~) | 優良 | 2か月~3か月 |
上表でもわかるように、パターンオーダーとフルオーダーでは値段や仕上がりに大きな差があります。
こうした違いを知らずに、どれも同じ「オーダースーツ」だと思い込んでお店を選んでしまうと、思わぬ失敗に繋がりますので注意しましょう。
続いては、ブランドの違いで変動する値段と平均相場について詳しくみていきましょう。
スーツのブランド
商品のブランドやメーカーによって価格が変動するのはスーツに限った話ではありません。
オーダースーツも、スーツのブランドによって値段が大きく変動します。
格安ブランド | テーラーメイド | ハイブランド | |
---|---|---|---|
平均相場 | 2万円~6万円 | 5万円~20万円 | 10万円~ |
オーダーシステムや取り扱う生地の違いが大きく反映されていることもありますが、ブランドごとに平均相場は異なります。
安さをウリにしているブランドは破格とも思える金額設定になっていますが、安い理由を知った上で納得できるのかを考える必要があります。
格安ブランドが低価格オーダーシステムを実現できる理由
3万円台でオーダースーツが作れるなど、安さを前面に打ち出した有名ブランドはいくつかあります。
消費者としては低価格で憧れのオーダースーツを手にできるとなればうれしい限りですが、テーラーの立場からすると少し物言いをしたくなる面があるのも確かです。
まず激安価格のオーダースーツは、ほぼ間違いなくパターンオーダーでの仕立てとなるためフィット感に難があります。
使う生地には化学繊維が使われているケースがほとんどで、最安値ならオプションも無しでしょう。
広告などで最安値として紹介されている値段は、「パターンオーダー×化学繊維×オプション無し」での価格なので、その仕上がりは既製品より少しだけサイズが調整されているという程度です。
よく「オーダースーツを作ってみたけど、さほど良くなかった」という声を耳にしますが、上記のようなオーダースーツでは本当の良さや着心地を感じられないのは当然といえます。
もちろん、格安オーダースーツを取り扱う大手ブランドが悪い訳ではありません。
既製品よりサイズ感を自分に合わせられて、買い替えも視野に入れた普段使いのスーツが欲しい!という需要にはマッチしているでしょう。
しかし、テーラー的には「激安オーダースーツで良し悪しを判断して欲しくない」のが本音でもあるのです。
テーラーメイドは店舗ごとに値段が異なる
オーダースーツならではの着心地と高級感は、専門店(テーラー)やハイブランドでなければ味わえないと言っても過言ではないでしょう。
しかし実際にオーダースーツを取り扱う店舗を検索して比較すると、同じ高級ブランドなのに値段が大きく違うケースがあります。
なぜ同じブランドなのに値段が違うのかを、当店が取り扱っている高級スーツブランド【Zegna(エルメネジルド・ゼニア)】を例にして解説します。
ゼニアは言わずと知れたイタリアの高級スーツブランドです。
最上級の生地とイタリアスーツらしい美しいスーツラインが特徴で、ゼニア直営店でオーダースーツを購入すれば30万円~と非常に高額となっています。
同じゼニアのスーツでも、国内には当店も含む【ゼニア認定店舗】に該当するテーラーなら、縫製工場や職人こそ違うものの生地やラインは同じスーツを15万円~と低価格で仕立てることができます。
さらに低価格で、10万円前後やそれ以下で「ゼニア」と称してオーダースーツを請け負うテーラーも存在します。
ゼニア直営店 | ゼニア認定テーラー | それ以外のテーラー | |
---|---|---|---|
オーダースーツの値段相場 | 30万円~ | 15万円~ | 10万円前後 |
使用される生地 | ゼニア生地 | ゼニア生地 | ゼニア生地 |
スーツのライン | ゼニアオリジナル | ゼニアオリジナル | 自社の独自ライン |
ゼニア直営店やゼニア認定テーラーが仕立てるスーツは、紛れもない「ゼニアのスーツ」です。
一方で、独自のスーツラインや縫製方法で仕立てたスーツを「ゼニアスーツ」という名称で販売しているテーラーも数多く存在します。
ゼニア非公認店舗のスーツは、厳密に言えば「ゼニアの生地で作った自社オリジナルのスーツ」です。
もちろん、最高級のゼニア生地を確かな縫製技術で仕立てたオーダースーツなら素晴らしい品質と着心地を実現します。
ただし直営店や認定店舗のように「ブランディングと技術」が担保されていないのも事実で、お店によっては縫製技術が低かったり選べる生地が少ないなどのデメリットもあるのでお店選びは慎重にしましょう。
オーダースーツに使用する生地とオプション
オーダースーツの値段を決定づける最後の要素は「使う生地」と「オプションの有無」です。
オーダースーツに使用される生地は、大きく分類すると【天然素材】か【化学繊維(混紡含む)】の2種類に分けて考えることができます。
基本的に値段が高いオーダースーツはウールやカシミヤなどの天然素材を使った生地で作られます。
激安オーダースーツなどは、ポリエステルなどの化学繊維が含まれた生地が使われていると考えてよいでしょう。
このように、オーダースーツに使用される生地は値段に直結する大きな要素です。
同じ天然素材を使った生地の中にもランクが存在していて、希少性が高く縫製が難しい素材になると値段も高くなります。
他にも、ボタンや裏地など仕立てるスーツの細かい部分を変えるオプションによっても値段は変動します。
オプションで仕立てるスーツを自分好みにカスタマイズするのもオーダースーツの醍醐味の1つ。
オプションの値段は店舗ごとに異なりますが、例えばボタンの変更だけなら2千円~6千円程度が相場です。
細かい部分までフルオプションで変更しても、仕立て料+2万円~3万円ほどで収まります。
オーダースーツでディティールまでこだわりたい人なら、オプション料金分も予算として考慮しておくとよいでしょう。
オーダースーツはコスパで選ぼう!おすすめと注意点
ここまで解説してきた通りオーダースーツの値段はさまざまな要素が複合的に関係して決定されています。
あまりにも値段が違いすぎて、初めてオーダースーツを仕立てる人は何を選べば良いのか悩んでしまうのは当然かもしれません。
最後にオーダースーツを仕立てるときに意識したい”コスパ”に焦点をあてた、選び方と注意点を解説していきましょう。
オーダースーツにおけるコスパは目的によって変わる!
まず初めに、コストパフォーマンスつまりは費用対効果とは何を意味するのかを正しく理解しているでしょうか?
もし「コスパが良い」の意味を、「値段が安い」と同じように考えているなら大きな間違いです。
高コスパとは、支払う費用(コスト)に対して得られる恩恵(パフォーマンス)が高いことを意味します。
オーダースーツにおける高コスパとして考えられる具体例をあげるなら
- 低予算で長く着れるスーツを仕立てること
- 最高のスーツを出費を抑えて仕立てること
主に、上記の2パターンとなります。
より判りやすく言うと、スーツを毎日着用して満員電車に揺られたりアクティブな仕事をしている人が、ハイブランドの超高級スーツをオーダーメイドするのはコスパが良いとは言えません。
高級スーツを仕立てようと考えたときに、少しでも安くと考えて実績や信頼の根拠が無いテーラーで仕立てるのも、不満が残ったり最悪の場合は”直し”で追加料金を支払う羽目になったりとコスパが良い選択とは言えないでしょう。
低価格をウリにしたオーダースーツなら、消耗が激しい普段使いを目的としているなら高コスパを実現します。
逆に最高の一着を仕立てたいのであれば、認定店舗や直営店のように信頼と実績が担保されているお店で作ることが、結果的に高コスパに繋がるのです。
オーダースーツにおけるコスパの良し悪しはスーツを作る目的によって異なるため、作る前に明確な用途や想定する着用方法を踏まえてお店選びをするようにしましょう。
高級スーツ=高耐久ではない!
高級ブランドの衣服を好む人は、「良い服を長く着る」という言葉を口にします。
購入時に高い出費だったとしても大切に何年も着れば元は取れるという意味だと思いますが、毎日のように着用することが多いスーツで同じ考え方はしない方が良いかもしれません。
高級ブランドのオーダースーツは、最高品質の生地と着心地が約束された素晴らしいスーツであることは間違いありません。
しかし天然素材100%の生地が使われているスーツは、品質と同じように耐久面でも優れているとは限らないのです。
高級スーツの素材として使われることが多いウールは、臭いやシワを取り除いてくれる特徴を持つ優れた繊維ではありますがデリケートな一面も持っています。
ウォッシャブルスーツのように洗濯をする訳にはいかないですし、日々のメンテナンスを怠ってしまえば劣化や臭いを防ぎきることはできません。
前述の購入目的にも繋がりますが、ヘビロテ着用をするなら化学繊維が使われているような「ウォッシャブル生地」でオーダースーツを作った方が無難です。
普段使い用に高級スーツを仕立てるのであれば、ローテーションを考慮して2~3着のスーツを仕立てるのがおすすめ。
コスパを考えるなら、同じテーラーで同時に2~3着のオーダースーツをまとめて頼むとお得です。
採寸した自分用の型紙が使えるので、2着目以降の値段がグッと安くなります。
例えば当店なら高級ブランド「ゼニア」のオーダースーツが、2着目以降であれば9万円台~という低価格でお仕立てが可能となっています。
高級スーツだから長持ちする・・という考え方は間違いで、正しいメンテナンスと適切な着用頻度で”長持ちさせる”ことが大切です。
値段が安すぎるオーダースーツにご注意を
予算をなるべく抑えたい場合は激安店も一考の余地はありますが、高級ブランドを破格で仕立てると宣伝する店舗には注意が必要です。
ゼニアを例にすると生地の価格とオーダー料の合算なら、どんなに安くても10万円を下回る販売は考えにくくなります。
値段が平均相場よりも明らかに安いということは、必ず低価格にできる理由が存在します。
- 廃盤やB級品(傷や汚れ)の生地を使用している
- コスト削減で技術が低い縫製工場で仕立てている
- オプション料金が高い、直しなどのアフターサービスが無い
もちろん販売利益を大幅に削り、低価格でも高品質なスーツを仕立ててくれるテーラーも存在するでしょう。
しかし値段の安さだけで高級ブランドのオーダースーツを仕立てるお店を選ぶのは大失敗に繋がる恐れもありますので、高い買い物だからこそ慎重に信頼できる店舗へお願いするのがポイントです。
オーダースーツは値段重視ではなくコスパ重視で選ぼう!
オーダースーツの値段は、2万円~3万円台で作れる商品から1着で100万円以上する高級スーツまでと、その幅は非常に広くなっています。
単純に値段が安い方が良い・高ければ良いという選び方ではなく、目的や着用頻度を考慮して最もコスパが良いと思えるお店で購入することがベストです。
- オーダースーツの値段は、オーダーシステム・ブランド・生地・オプションで決まる
- 目的次第では激安オーダースーツを選ぶことが高コスパになることも
- 高級ブランドスーツは、完璧な仕上がりが約束された店を選んだ方が結果的に高コスパ
高級ブランドのスーツを仕立てる場合などは、ブランド認定の国内テーラーで一度に2~3着をまとめて作ると高コスパです。
初めてオーダースーツを仕立てるときは、ついつい目先の値段だけでお店を決めてしまいがちですが、目的や予算に応じて最もコスパが良い選択をすることが失敗しないためのポイントですよ!
また、オーダースーツについて注文方法から納期やおすすめまで、より詳しく解説している記事もあるので合わせて目を通して参考に役立ててみてください。