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    Ermenegildo Zegna(ゼニア)はなぜスーパー表示を行わないか

    糸や生地の品質の目安として使われる国際的な表示に「スーパー表示」があります。しかし、ゼニアスーツに使われる生地には、スーパー表示が使用されていません。ここでは、「なぜ、ゼニアはスーパー表示を行わないか」について話します。

    まず、「スーパー表示」とは何かについて説明しましょう。
    スーパー表示は、ウールの原毛の繊維の平均直径を元にした表示のこと。スーパー表示は、国際羊毛繊維機構(IWTO)により規定された、ウールの品質を表す国際的な基準です。適用されるのはウールのみ。ポリエステルなどの化学繊維はもちろん、シルクのような天然繊維、また、天然の獣毛であっても、ウール以外の原毛、たとえばカシミア、アンゴラ、モヘアなどにも使用されません。

    Super表示と、繊維の平均的な太さ

    • Super120’s=17.5μ
    • Super130’s=17.0μ
    • Super140’s=16.5μ
    • Super150’s=16.0μ

    ※1μ(ミクロン)は1000分の1ミリメートルです

    ウールは、原毛の繊維が細くなればなるほど、手触りがよい高品質な糸を紡績しやすくなります。高品質な糸を紡績できれば、当然、それを用いて織りあげた生地の品質も高くなります。
    つまり、スーパー表示の数字が大きいほど、細い繊維の原毛を使用した高品質な糸、生地であるということになります。

    しかし、ゼニアスーツに使用されるゼニアの生地には「スーパー表示」がありません。
    その理由は、生地の品質に対するゼニアの考え方にあります。

    ゼニアは、生地の品質は繊維の細さだけでは決まるとは考えていません。
    繊維の細さももちろん重要ですが、この他にも、たとえば織り方、糸の密度、つまり単位面積あたりに何本の糸を使用しているか、あるいは織った後の仕上げなどさまざまな要素を総合的に考慮した上で決まるものだと考えています。

    一例として、「糸の密度」という視点から生地の品質を考えてみましょう。
    糸の密度というのは、たとえば1センチメートル四方の生地に何本の糸が使用されているか、ということです。一般的には、この密度が高ければ目の詰まったしっかりした生地になり、低ければ目に余裕がある生地だということになります。織り密度とも言います。

    仮に、1センチメートル幅に、Super100の糸が100本使われている生地があるとします。これとは別に、Super100の糸を20本、Super80の糸が80本使われている生地があるとします。

    実はこれは、どちらもスーパー表示をすると同じ「Super100」になります。「Super100」という表記を見ると、Super100の糸だけを使用していると思い込みやすいのですが、実際はこのように一部に使用されていても「Super100」という表示ができるのです。

    しかし、Super100の糸100本使用した生地と、Super100を20本、Super80を80本使用した生地では、密度が違います。密度が違うということは、手触りやハリ感などにも違いがでてきます。そうであるにも関わらず同じ「Super100」表示をしてしまうと、混乱が生じる恐れがあります。

    だからといって、「太さの違う糸を組み合わせることは、混乱のもとなので避けるべきである」ということはありません。太さの違う糸を組み合わせて生地を織ることは、生地の柄や特徴を出すために必要だからです。

    ゼニアスーツの生地には、たとえばヘリンボーンとシャドーストライプを組み合わせ、光のあたり方によって柄が浮き上がって見えるような繊細な柄があります。この柄は、太さの違う糸を組み合わせて織ることで初めて表現できるものです。

    柄の一例を画像で見てみましょう。

    2013年秋冬物のトロフェオです。1.0cm間隔のシルバーストライプの中をマイクロヘリンボーン柄で織りあげるという方法で柄を出しています。光の加減や見る角度によって、ヘリンボーン柄が強調されたり、シルバーストライプが強調されたりする生地です。

    複雑な表情を持つ柄を表現するためには、糸の太さや織り方を変える必要があります。その結果、生地の表と裏ではまったく糸の出方が異なる生地も生まれます。今度は、その例を写真で見てみましょう。

    左が裏、右が表です。表の柄やツヤ感を出す織り方をすると、裏はこのようにまったく違う柄やツヤ感が出るようになるのです。

    ゼニアスーツの生地の場合、同じレーベルからさまざまなバリエーションの柄が出ています。それぞれの柄は、糸の太さ、織り方変えることで生まれます。
    ということは、同じレーベルであっても、プレーンな生地と柄ものでは使用されている糸の太さが違う、柄物の生地であっても、柄によって使用されている糸の太さが違う場合がある、ということになるのです。

    ここまでの話のまとめ

    スーパー表示は、糸の繊維の細さを表す基準です。しかし、生地の品質は、繊維の細さだけで決まるものではありません。

    また、ゼニアスーツの生地独特の繊細な柄や光沢を表現するためには、太さが違う糸を組み合わせて織ることが必要です。しかし、太さが違う糸を組み合わせて織ろうとすれば、繊維の直径を表すスーパー表示にとらわれていては、かえって混乱してしまいます。

    そうであるならば、最初からスーパー表示を行わないほうが、混乱を招くことなく、より自由にさまざまな太さの糸を組み合わせ、柄やツヤ感を表現できるようになります。

    だから、ゼニアは、ゼニアスーツに使用する生地にスーパー表示を用いないのです。
    この判断には、スーパー表示で品質を評価するという、画一的な枠にとらわれることなく、より優れた品質のものを生み出していこうというゼニアの自信の表れであるともいえるでしょう。

    そんなゼニアのスーツ生地は実際に目で見て確かめるのが一番です。
    当店の誇るゼニアスーツラインナップはできるだけ生地の色合いも再現して掲載しておりますが、やはり一度店頭にて圧巻のゼニアスーツ素材をご覧ください。

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