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ゼニアの『トロフェオ』はオールシーズン着用できる人気商品

ゼニア「トロフェオ」
  • ゼニア社の「トロフェオ」ってどんな生地?
  • トロフェオはどの時期に最適な生地?

ゼニア社のトロフェオを購入検討している方は上記のような疑問を持っている方も多いと思います。

こちらの記事を読むと上記のようなトロフェオについての基本情報から気になる疑問についてゼニア生地専門オーダースーツ店「GINZA SAKAEYA」の店長が徹底的に解説させていただきます。

結論からお話しするとゼニア社のトロフェオと言う生地はオールシーズン着ることができるゼニア生地の中でも定番のおすすめ生地です!

記事内で詳しく解説していくので、ぜひ本文も読み進めてみてください。

ゼニア社のほかの生地をチェックしたい方は「ゼニア社の生地一覧」も参考にしてみてください。

目次

ゼニア社のトロフェオとは

ゼニア「トロフェオ600」のタグ
ゼニア生地「トロフェオ600」のタグ
ゼニア「トロフェオカシミヤ」のタグ
ゼニア生地「トロフェオカシミヤ」のタグ

英語で言うトロフィーが語源となっている「トロフェオ」はゼニア社が今最も注力している生地です。

春夏ものの定番生地として開発された「トロフェオ」は、4・5月および10・11月といった夏と冬以外の季節に着る「合い着(あいぎ)」としての役割を果たす生地でした。

合い着とは、下記の図のように例えば4〜5月、10〜11月など、夏でも冬でもない時期に着る服のことです。

ゼニアの生地の季節対応図
ゼニア社の生地の季節対応図

このためゼニア生地のスーツの中でも着用できる期間が短い生地だったのですが、季節感より見た目のオシャレさを優先させ、本来なら4〜5月向きである「トロフェオ」の春夏物を、6月の初夏のころまで選ばれる方が増えていきました。

そして近年では、ゼニア社もこのトロフェオを通年着用できる生地として改良を重ね『春夏用』と『秋冬用』という分類を残しながらも通年着用できる生地に進化しました。

まずはこのゼニア生地トロフェオの『春夏用』と『秋冬用』について解説していきます。

ただ、このトロフェオ「春夏」と「秋冬」の違いをより深く理解するため、まずは簡単に原毛や糸・生地について解説させていただきます。

原毛のグレードの判断に使われる基準は「Super」、糸は「番手」です。
「Super」は、原毛の繊維の直径を元に作られた規定で、「番手」は1キログラムの原毛から何キロメートルの長さの糸を作ったかを表したものです。どちらも、数字が大きいほど繊細な糸だということになります。

繊細な糸は強度が低くなるので、十分な強度を持たせるために、撚り(より)を強くすることがあります。
撚りが強くなると、その分使用する繊維が多くなるので、同じ面積の生地でも重さが増します。
この単位面積あたりの生地の重さを、「目付(めつけ)」といい、グラムまたはキログラムで表します。

「目付」は、使われている糸の「番手」と照らし合わせながら見ると、その生地の特性が理解しやすくなります。

細い糸を使用しているにもかかわらず目付が重いのであれば、細い糸をしっかり撚って織っている、ということを意味しています。
このような生地は、肌ざわりがなめらかで、見た目もしっとりとした光沢があるものになります。

細い糸を使っていて目付がそれほど重くない生地は、耐久性にやや難がある場合があるので、注意が必要です。

Superと番手の意味
Superと番手の意味

糸は、原毛から繊維を取り出し、撚って作ります。原毛から繊維を取り出し、撚って作った糸を「単糸(たんし)」、単糸を2本組み合わせて撚ったものを「双糸(そうし)」と言います。

双糸の構造
双糸の構造

トロフェオ 春夏用

2009年までの「トロフェオ 春夏用」は、縦糸、横糸共に、「単糸」を使って織られていました。
生地表面には起毛感があり、落ち着いた色・柄が中心となっていておとなしめで温かみを感じれるようなデザインのものが多く企画されていました。

2010年はゼニア社創業100周年の節目の年ということもあり、トロフェオは大きくリニューアルされました。
ファッションの世界では、光沢感のある素材や、スリムなデザインの流行が定着してきた時期です。

「トロフェオ 春夏」のリニューアルは、このトレンドを予見したゼニア社が、100周年を迎えるタイミングで満を持して行ったものと言えるでしょう。
具体的なリニューアル内容ですが、糸や織り方といった基本的なところから大きく変わりました。

2013年、「トロフェオ 春夏用」は使用する糸をリニューアルしました。原毛は、従来のSuper130’SクラスからSuper150’Sクラスにグレードアップ。
その細さを補うため、撚りを強くして作った糸を使用しており、目付は従来の230〜240グラムから、240〜245グラムと若干増えています。

先ほど、目付の解説で、「細い糸を使った目付が重い生地」は丈夫で高級感がある、という話をしましたが、リニューアル後の「トロフェオ 春夏用」は、まさにそのとおりの、より品質の良い生地になったことが、この数字からもうかがえます。

また、天然毛に強い撚りをかけた糸で、しっかり目をつめて織った「トロフェオ 春夏用」には、吸湿性が高いという特徴があります。

吸湿性の高い生地で仕立てたスーツは、スーツ内部の汗や湿気を吸い取り、体の表面付近の湿度をコントロールしてくれるため、着心地が非常によいものになりました。

ゼニア生地 トロフェオ 秋冬用

2008年までの「トロフェオ」は、温かみのある起毛感、ぬめり感、柔らかい手触りといった素材の高級感に加え、柄もベーシックなラインナップで構成されていました。

この傾向がガラリと変わったのが、2009年です。
より細く、より強く撚られた糸を使って織るようリニューアルされたことにより、生地全体がより軽くなり、生地の奥から発するような上品な光沢感が出るようになりました。

細い原毛を糸にする際、糸としての強度を増すために撚りを強くする必要がありますが、その撚りの強さが、生地の光沢となって現れるのです。

柄も、光の加減で雰囲気が変わる『ヘリンボーン=杉綾織り』などのオシャレ感がある柄へとシフトしました。

2013年「トロフェオ 秋冬」は、同年の春夏と同じく素材の見直しによる軽量化という方向性でリニューアルが行われました。

2009年の大幅なリニューアル以降、数年ぶりの企画変更となりました。

トロフェオは耐久性と高い品質を同時に実現

ゼニア社のトロフェオは、繊維の平均直径が約16ミクロン(1ミクロンは1000分の1ミリメートル)という非常に細い原毛が使用されています。

こうした細い毛は独特の光沢感を持ち、手触りも柔らかいのですが、やはり耐久性は低下します。

そこで、細い原毛でも耐久性が損なわれないように、まず原毛から細い糸(「単糸」と呼ばれます)を作り、次はそれを2本撚り合わせ(「双糸」と呼ばれます)、その糸で生地を織ります。

細い糸を2本撚り合わせると倍の太さの糸になり、耐久性が高くなります。
その一方で、光沢感や柔らかさといった、細い原毛の持つ長所を生かすことができます。

このように、ゼニアの生地には、耐久性と高い品質を同時に実現させる工夫が施されています。

また、ゼニアの生地に使われているウールには、弾力性や伸縮性、回復力が高いという特長があります。

これは、「クリンプ」という縮れがウールの繊維の中にあるからです。

つまり、弾力性や伸縮性、回復力に富むウールの生地は、適度な休みを与えることで、着用時の摩擦や圧力によって受けたダメージから自然に回復できるのです。

椅子に座った際におしりの部分の繊維が潰れても、膝の部分が伸びてしまっても、クリンプの形状が元に戻ることで、またふんわりと空気を含んだ元通りの生地になるのです。

トロフェオの種類は全部で4種類

トロフェオ デニム

デニムの見た目でウールカシミヤ素材を混紡したトロフェオで、デニムパンツに最適なファブリックです。

また、ビジネスカジュアルシーンに合わせたゼニアセットアップスーツ・ゼニアジャケットとも好相性の使い勝手の良い生地と言えます。

トロフェオ カシミヤ

ゼニア「トロフェオカシミヤ」のタグ
ゼニア生地「トロフェオカシミヤ」のタグ

Ermenegildo Zegna(エルメネジルド ゼニア)スーツの定番生地の1つ「トロフェオ」は、繊維の平均直径が16ミクロンという極細のウールをしっかり撚って織り上げられた生地です。

表面の滑らかさや光沢感、また、ヘリンボーン柄などのトレンドを意識した柄などで、様々な年代から支持されています。

トロフェオカシミアを使用したスーツ
トロフェオカシミヤを使用したスーツ

トロフェオは100%羊毛のみを使って作った生地ですが、実はゼニア生地の中にはこれに5%ほどのカシミヤを混紡して作られた生地があります。それが「トロフェオカシミヤ」です。

なめらかな光沢感のあるトロフェオと違い、トロフェオカシミヤは表面が毛羽立っていて、見るからに秋冬向けの温かみを感じる生地です。

トロフェオカシミヤのような、表面が毛羽立っている素材を「フランネル」といいます。

フランネルと聞くと、起毛していて、やや肉厚の、いわゆる「ネルシャツ」を思い出す方も多いことでしょう。

あの高級スーツのゼニア社がなぜそんなカジュアルな素材を、しかもカシミヤを混紡してまで作るのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、ゼニア生地のトロフェオカシミヤについて説明する前に、まずはフランネルとはどのような素材かについて説明しようと思います。

フランネルは、表面の起毛感が特徴です。この起毛感が生まれる要因は2つ。1つは、使用されている糸で、もう1つは、織り上げた後の加工です。

まず、糸から説明しましょう。フランネルは、「紡毛糸(ぼうもうし)」という糸を使って作ります。

原毛を糸に加工する時には、まず長さを均一にするためにクシで梳(す)くのですが、紡毛糸というのは、このときに落ちた、比較的短い繊維の毛(紡毛)で作った糸のことです。

梳毛と紡毛のイメージ
梳毛と紡毛のイメージ

これだけ聞くと「では、紡毛糸は粗悪な素材なのではないか」と思う方もいるかもしれません。

しかし、決してそんなことはありません。

紡毛糸は粗悪ではない、ということを示す例をあげましょう。

ゼニア生地のトロフェオカシミヤにはカシミヤが使われていますが、高級素材として知られるカシミヤの原毛のほとんどは、紡毛糸として紡績されます。

ウールは羊の毛をまるごと刈り取りますが、カシミヤは、カシミヤ山羊の皮膚近くに生えている産毛だけをクシで梳き取って作ります。

産毛ですから、当然1本1本の毛の長さは短め。したがって、紡毛糸になることが多いのです。

また、紡毛糸は短い繊維をふんわりと撚り合わせて作るため、柔らかく、起毛しやすく、保温性が高い、秋冬に適した素材になります

紡毛糸は決して粗悪な素材ではないということが、このことからもわかることでしょう。

2つめの理由は、織り上がった後に施される縮絨(しゅくじゅう)と呼ばれる加工です。

これは一度織った生地を湿らせて叩いたり揉み込んで繊維同士を絡ませて毛羽立たせる加工の事です。その結果、さらに生地は柔らかくなり、保温性も高くなります。

プレミアムカシミヤ生地
トロフェオカシミヤの生地
トロフェオカシミヤの生地

ゼニア生地のトロフェオカシミヤにも、当然、縮絨加工が施されています。

生地表面を見ていただくと、秋冬にふさわしい、温かみを感じさせる細かな起毛感があるのがわかります。しかし、実物を触るとトロフェオ特有の柔らかさとヌメリ感を感じることができます。

また、縮絨加工を施すと、どうしても生地がやや肉厚になってしまいがちですが、ゼニア生地のトロフェオカシミヤは、もともと使用している原毛が極細であることもあり、厚みはほとんど感じません。

トロフェオカシミヤの目付(1メートルあたりの生地の重さ)は約240グラム程度。温かみを感じる起毛素材でありながら、一般的なトロフェオとほぼ変わらない軽さの生地に仕上がっているのです。

軽く着られ、保温性が高く、起毛感があり、さらにカシミヤ混のなめらかさがあるという、秋冬にぴったりのゼニア社のレーベル、トロフェオカシミヤ。

ゼニア生地で高級感あるカジュアルなおしゃれを楽しむためのジャケット、スーツを仕立てたいとお考えの場合に、トロフェオカシミヤはぜひチェックしていただきたい生地です。

トロフェオ600

ゼニア「トロフェオ600」のタグ
ゼニア生地「トロフェオ600」のタグ

ゼニア生地の「トロフェオ」をベースとして生まれた生地「トロフェオ600」は、混紡されているシルク(絹)糸の細さを示す数字です。

シルク(絹)の糸の細さを示す数字として代表的なのは、「番手」という単位です。

これは、1キログラムの原毛で作れる糸の長さ(キロメートル単位)を示す数字で、ウールの糸の細さの単位としても使われます。

例えば、ゼニア生地のトロフェオ(2013年の秋冬企画)の縦糸に使われているのは、118番手の双糸ですが、これは1キログラムの原毛から118キロメートルの糸が作れる細さであることを表しています。(トロフェオのページでも、番手について詳しく説明しています)

シルク(絹)に「原毛」はありませんが、考え方は羊毛の場合と同様で、「1キログラムあたり何キロメートルの糸になるか」を数字で示します。

トロフェオ600の場合は、600番手、つまり1キログラムで600キロメートルの長さとなるシルク(絹)糸が使われているということになります。

また、繭から取り出された時点でのシルク(絹)の繊維は、なんと約9000番手ほどの細さです。

生地に織り上げるにはあまりに繊細なため、何本も撚り合わせて適当な太さにする必要があります。

トロフェオ600では、9000番手のシルクを撚りあわせて600番手の太さにしたシルク(絹)糸を使っている、ということになるのです。

トロフェオミルド

2014年の秋冬に生まれたゼニアの生地「トロフェオミルド」はその名称が示す通り、「トロフェオ」をベースにした生地です。

平均直径は約16ミクロンと、細い原毛を使った生地の多いゼニア生地の中でも特に繊細な繊維から作られています。

ゼニア生地のトロフェオミルドの名称の中には、「ミルド」という単語が入っていますがこれは、「ミルド加工」という加工を施したことを表すものです。

では、ミルド加工とはどのような加工なのか詳しく解説します。

原毛を織り上げた生地をいったん湿らせ、その状態のままで生地を揉んだり叩いたりすると表面が毛羽立ちます。

このように生地を毛羽立たせる加工をミルド加工と呼びます。

湿った状態のまま叩いたり揉んだりすることで生地が毛羽立つ理由は、ウールの構造にあります。

シャンプーのコマーシャルなどでよく目にする、うろこのような形状のキューティクル。あのうろこ状の構造が、ウールにもあるのです。この構造は、ウールではスケールと呼ばれています。

スケールは、毛根から毛先に向かってできるという特徴があります。

このため、ウールを手でなでた時、毛根から毛先に向けてなでた場合はなめらかさを感じますが、毛先から毛根に向けてなでると、少し引っかかるような抵抗感があります。

このスケールがあるため、湿った状態で羊毛を叩いたり揉んだりすると、繊維が絡み合ってケバ立ち、全体的に縮んでいくのです。この生地の毛羽を整えれば、ミルド加工は完了します。

表面がなめらかな生地に比べ、ミルド加工で毛羽立たせた生地は、より多くの空気を生地の表面に含ませることができます。

空気は熱を逃がしにくい性質を持っているため、ミルド加工を施すことで生地の保温性が高くなります。

また、毛羽の独特の風合いが暖かみを感じさせるので、秋冬向けに最適の生地となるのです。

トロフェオはゼニア社の生地で最初の一着にふさわしい生地

本記事ではゼニア生地のトロフェオについて徹底的に解説させていただきました。

トロフェオは10年以上前からラインナップされている定番の生地でもっとも人気のある生地です。

ゼニア社の生地でオーダースーツを初めて仕立てるとき、もし生地に悩んだ場合はトロフェオは絶対にはずすことのない生地だと言えます。

ゼニア生地 トロフェオについてのおさらい
  • トロフェオには「春夏用」と「秋冬用」がある。
  • トロフェオは双系の技術によって光沢・柔らかさを保ちながら耐久性も高めた生地
  • GINZA SAKAEYAならコスパ良くトロフェオが買える
  • トロフェオにはバリエーションが増え続けている。

一般的にゼニア社のスーツと言えば「トロフェオ」と言われますが、それはトロフェオの品質の高さもさることながら、今なおゼニア社が派生型を開発している所からも裏付けられています。

ゼニア社から、より安い機能性生地もラインナップされてはいますが、やはり最初のゼニア生地のスーツならトロフェオをお試していただきたいと考えております。

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