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    Ermenegildo Zegna(ゼニア) おすすめスーツ生地「トロフェオ(春夏)」

    ゼニアを代表するレーベルのひとつである「トロフェオ」。「トロフェオ」には秋冬物と春夏物の2つの企画があります。ここでは、春夏物について説明しましょう。
    (なお、秋冬物についてはゼニアスーツ生地「トロフェオ(秋冬)」のページで説明していますので、そちらをご参照ください)

    春夏の「トロフェオ」は、本来、「合い着(あいぎ)」用としての役割を持った生地でした。合い着とは、たとえば4〜5月、10〜11月など、夏でも冬でもない時期に着る服のことです。したがって、実際に着る期間はそれほど長くないものだったのですが、近年は、この傾向に変化が見られます。

    ゼニアの場合、それぞれの素材の持つ特徴から基本的には、4〜5月は「トロフェオ」の春夏用、6〜9月は夏物の「トロピカル」、10〜11月は秋物の「トロフェオ」、12月〜翌3月は冬物の「エレクタ」が選ばれます。しかし最近は、季節感より見た目のオシャレさを優先させ、本来なら4〜5月向きである「トロフェオ」の春夏物を、6月の初夏のころまで選ばれる方が増えているのです。

    なぜ、春夏の「トロフェオ」は、初夏頃まで選ばれるような人気素材になったのでしょうか。
    「トロフェオ」の話をする前に、簡単に原毛や糸、生地について解説しておきます。
    原毛のグレードの判断に使われる基準は「Super」、糸は「番手」です。
    「Super」は、原毛の繊維の直径を元に作られた規定で、「番手」は1キログラムの原毛から何キロメートルの長さの糸を作ったかを表したものです。どちらも、数字が大きいほど繊細な糸だということになります。
    繊細な糸は強度が低くなるので、十分な強度を持たせるために、撚りを強くすることがあります。撚りが強くなると、その分使用する繊維が多くなるので、同じ面積の生地でも重さが増します。この単位面積あたりの生地の重さを、「目付(めつけ)」といい、グラムまたはキログラムで表します。

    「目付」は、使われている糸の「番手」と照らし合わせながら見ると、その生地の特性が理解しやすくなります。
    細い糸を使用しているにもかかわらず目付が重いのであれば、細い糸をしっかり撚って織っている、ということを意味しています。このような生地は、肌ざわりがなめらかで、見た目もしっとりとした光沢があるものになります。細い糸を使っていて目付がそれほど重くない生地は、耐久性にやや難がある場合があるので、注意が必要です。

    原毛や糸、目付についておおまかに説明したところで、「トロフェオ」春夏物の魅力についての話に戻りましょう。
    2013年、「トロフェオ」の春夏物は使用する糸をリニューアルしました。
    原毛は、従来のSuper130’SクラスからSuper150’Sクラスにグレードアップ。その細さを補うため、撚りを強くして作った糸を使用しており、目付は従来の230〜240グラムから、240〜245グラムと若干増えています。
    先ほど、目付の解説で、「細い糸を使った、目付が重い」生地は丈夫で高級感がある、という話をしましたが、リニューアル後の「トロフェオ」春夏物は、まさにそのとおりの、より品質の良い生地になったことが、この数字からもうかがえます。
    また「トロフェオ」春夏物のように、天然毛に強い撚りをかけた糸で、しっかり目をつめて織った生地には、吸湿性が高いという特徴があります。吸湿性の高い生地で仕立てたスーツは、スーツ内部の汗や湿気を吸い取り、体の表面付近の湿度をコントロールしてくれるため、着心地が非常によいものになります。
    しかし、このようななめらかで光沢感のある春夏の生地「トロフェオ」ですが、以前は、現在とはまったく違った糸と織り方で作られていました。

    糸は、原毛から繊維を取り出し、撚って作ります。原毛から繊維を取り出し、撚って作った糸を「単糸(たんし)」、単糸を2本組み合わせて撚ったものを「双糸(そうし)」と言います。
    2009年までの「トロフェオ」の春夏物は、縦糸、横糸共に、「単糸」を使って織られていました。生地表面には起毛感があり、落ち着いた色・柄が中心。おとなしめで温かみを感じされるようなデザインのものを中心に企画されていました。

    しかし、2010年に「トロフェオ」春夏物は大きくリニューアルされます。ちょうどこの年は、ゼニア創業100周年の節目の年。ファッションの世界では、光沢感ある素材や、スリムなデザインの流行が定着してきた時期です。「トロフェオ」春夏物のリニューアルは、このトレンドを予見したゼニア社が、100周年を迎えるタイミングで満を持して行ったものと言えるでしょう。

    具体的なリニューアル内容ですが、糸や織り方といった基本的なところから大きく変わりました。
    2009年まで、「トロフェオ」の春夏物は、縦糸・横糸共に56番の単糸を使って織られていました。しかし、2010年の企画からは、縦糸が104番の双糸に変更されます(横糸は56番単糸のままです)。これにより、目付はそれまでの「トロフェオ」春夏物より20グラム軽い230〜240グラムになりました。
    また、2013年のリニューアルでは、横糸は56番のまま変わりませんが、縦糸が117番双糸に変更され、さらに細い糸を使った織り方に変わりました。糸にかけられる撚りも強くなり、よりなめらかで柔らかい生地になっています。

    2013年のリニューアルの前と後の「トロフェオ」春夏物の生地を、画像で比較してみましょう。
    トロフェオ左が2010年から2012年までの「トロフェオ」春夏物、右が2013年以降の「トロフェオ」春夏物です。光沢感などの違いがわかることでしょう。
    デザインは、それまでの落ち着いておとなしめの柄から、たとえば光のあたり方によってニュアンスが変わるシャドーストライプなどのオシャレな柄を中心としたラインナップに変更されました。それまでの「トロフェオ」春夏物は、その落ち着きある高級感からやや年配の方に人気のレーベルだったのですが、リニューアル後は、20〜50代の若い層にも人気のレーベルへと成長しています。これからもゼニアが力を入れていくであろうことが予想される、注目のレーベルだと言えるでしょう。

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