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    ゼニア おすすめスーツ生地『トラベラー』

    出張が多いビジネスマンに人気のErmenegildo Zegna(ゼニア)のスーツ生地レーベル「トラベラー」。たたんだ状態でスーツケースに長時間入れておいてもシワになりにくく、また、シワからの回復力が高い生地として知られています。
    このシワに対する強さの秘密は、生地に使用されている糸にあります。

    まず、シワのできるメカニズムについて解説しましょう。
    生地のシワは、外から力が加えられることによって生地を構成している糸の位置がずれることで生じます。たとえば長時間イスに座っていると、体を曲げている部分では生地が折れ曲がったりゆがんだりします。特に体とイスに挟まれたところには強い圧力がかかります。そのような状態が長く続くほど、織物を構成している糸がずれた状態が続いて、糸にねじれが生じ、元に戻らなくなります。これがシワの正体です。
    このメカニズムを反対側から考察していくと、生地を構成する糸自身がねじれにくく、まっすぐな状態を保とうとする力が強ければ、外から力がかかってもズレを生じにくい、つまり生地がシワになりにくいということになります。また糸のねじれを元に戻そうとする力が強ければその生地はシワからの回復も早い、ということになります。
    では、ねじれにくい糸、ねじれを元に戻そうとする力が強い糸を作るにはどうすればいいのでしょうか。

    糸の撚り方その説明の前に、簡単に、「糸」のつくり方について説明します。生地に使われる糸には、「単糸」と「双糸」の2種類があります。「単糸」というのは、原毛を少しずつ細く引き出し、撚(よ)って作った糸。「双糸」は「単糸」を2本撚り合わせて作った糸のことです。撚り方は2種類あり、反時計回りに撚ることを「Z撚り」「左撚り」と呼び、時計回りに撚ることは「S撚り」「右撚り」と呼びます。

    一般的には、「単糸」は繊維をZ撚りにして作ります。その単糸を2本合わせてS撚りしたものが「双糸」です。
    双糸の違いこの双糸の中には、単糸を2本組み合わせ、「1本は右方向に、もう1本は左方向に撚って」作られるものがあります。この撚り方を「SZ撚り」と言います。「トラベラー」は、この「SZ撚り」をして作った糸で織られているのです。

    糸の違い同方向に撚りあわせた一般的な双糸は、撚りと逆方向の力が加わると、ほどけてしまいます。しかしSZ撚りにした双糸(トラベラーの双糸)は、糸に撚りをかけようとすると、ほどけずにより強くねじれ、そのねじれを元に戻そうとする力が強く働くようになります。つまりSZ撚りにすると、糸が元の状態に戻ろうとする力がより大きくなる、ということなのです。
    「トラベラー」は、一晩ハンガーにかけておけば翌日にはシワが回復する、と言われるほど「シワになりにくく、シワの回復力が高い」生地です。その秘密は、こんな糸の撚り方にあったのです。

    2009年までの「トラベラー」は、この機能性を重視しすぎるあまり、生地の風合いなどにやや物足りなさを感じることもありました。しかし2010年に、使用する原毛をより繊維が細いものに変更し、より強い撚りをかけて作った糸から生地を作るようにリニューアル。シワに強いという機能はそのままに、生地表面のツヤ感や柔らかさが増し、オシャレ感ある生地に進化しました。目付(生地1メートルあたりの重さ)も、2009年までは310グラムだったものが、2010年以降は280~290グラムと軽くなり、より軽くて着心地のいい生地になっています。
    また、柄のバリエーションも、遠目から見ると一見無地に見えるけれども、光の当たり方や見る角度によって濃淡あるストライプが浮かび上がる「シャドーストライプ」など、着る人をより華やかに見せるものが増えました。

    トラベラー左が2009年まで、右が2010年以降の「トラベラー」です。見た目にも、ツヤ感などが違うのがおわかりいただけると想います。
    2010年前後は、男性ファッションのトレンドも、より光沢感のある個性的な生地が好まれる方向へと、大きな転換期を迎えた時期でもありました。この流れを受け、「トラベラー」もまた、機能だけでなく見た目や着心地も重視する路線へと変更していったのだと考えられます。2010年といえば、ゼニアが創業100周年を迎えた年。この年はゼニアにとって、名実ともに大きなターニングポイントになったと言えます。
    リニューアルを機に、シワになりにくい機能と、高級感、オシャレ感の両方をそなえた生地として、ゼニアの「トラベラー」は、出張が多いビシネスマンから長時間座って会議をすることが多い管理職まで、幅広い層に受け入れられるレーベルになりました。機能と品格の両方をそなえたビシネススーツ用の生地として、これらも注目を集めていくことでしょう。

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