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    ゼニア おすすめ生地レーベル「トロフェオ」

    Ermenegildo Zegna(ゼニア)が近年最も力を入れ、バリエーションを増やしているレーベル「トロフェオ」。「トロフェオ」には、秋冬物と春夏物がありますが、ここでは秋冬物の「トロフェオ」について解説します。

    2013年の「トロフェオ」秋冬物は、同年に発表された春夏物同様、今までより細い原毛や糸を使用することによって、さらに軽量の生地へとリニューアルされています。2009年の大幅なリニューアル以降、数年ぶりの企画変更です。

    糸の太さ具体的な内容に入る前に、原毛と糸のグレードについて少し説明しておきましょう。原毛の太さは「Super」という表示で、糸の太さは「番手」という表示で表されます。「Super」は、原毛の繊維の直径を元に規定が作られているもので、「番手」は1キログラムの原毛から何キロメートルの長さの糸をつくることができるかを表したもの。どちらも、数字が大きいほど繊細な糸になる、ということになります。

    2012年までの「トロフェオ」に使用されていた原毛は、繊維の直径が平均17ミクロンの「Super130’S」クラスのものでした。しかし2013年春夏物は、繊維の直径が平均16ミクロンの「Super150’S」クラスにグレードアップ。当然、秋冬物にもこれに匹敵する細さの原毛が使われていると考えられます。1メートルあたりの生地の重さのことを「目付」といいますが、この目付でいうと、2008年までの「トロフェオ」秋冬物は約280~290グラム、2009年以降は約260グラム、2013年のものは230~240グラムと、リニューアルごとに軽量化しています。

    糸の撚りについてまた、生地を織り上げる糸の種類もリニューアルされています。糸は、原毛から取り出した繊維を撚った「単糸(たんし)」と呼ばれるものと、それを2本より合わせて作った「双糸(そうし)」と呼ばれるものがあります。番手が高い、つまり細い糸の場合は、単糸のままだと丈夫さが不足する場合があるので、双糸にして生地を織ることがほとんどです。

    リニューアルした「トロフェオ」は、縦糸に、118番手の糸を2本撚りあわせた双糸を使っています(ちなみに、2013年の春夏物の「トロフェオ」に使われている縦糸は117番手の糸を撚った双糸です)。つまり、秋冬物の「トロフェオ」は同じレーベルの春夏物より、繊細で軽い糸を使用し、織り上げられていることになります。双糸の縦糸がもたらす耐久性と光沢感、単糸の横糸が持つ柔らかさやしなやかさ。双糸と単糸のそれぞれの良さをうまく組み合わせてできたのが「トロフェオ」です。

    2008年までの「トロフェオ」は、温かみのある起毛感、ぬめり感、柔らかい手触りが特徴で、柄も比較的落ち着いた、おとなしめな印象のベーシックなものが中心。そのため、素材の持つ高級感と相まって、主にシニア層に人気がありました。

    生地の光沢この傾向がガラリと変わったのが、2009年。より細く、より強く撚られた糸を使って織るようリニューアルされたことにより、生地全体がより軽くなり、生地の奥から発するような上品な光沢感が出るようになりました。細い原毛を糸にする際、糸としての強度を増すために撚りを強くする必要がありますが、その撚りの強さが、生地の光沢となって現れるのです。柄も、光の加減で雰囲気が変わる『ヘリンボーン=杉綾織り』(注1)などのオシャレ感がある柄へとシフトしました。

    (注1)
    ヘリンボーンとは、ツイードのコートやジャケットによく使われる山と谷の連続する単純な柄のことです。英語でヘリング(魚のニシン)のボーン(骨)に似ている事からこう名付けられました。日本では、杉模様に見立て杉綾織と呼ばれることもあります。
    「トロフェオ」のヘリンボーン柄は、光の当たり方や見る角度が変わるだけで、薄く見えていたストライプが黒っぽく浮き上がったり、濃く見えていた部分はさらに光沢感を増して見えたり、あるいは、先ほどまで見えていた線が消えたように見えたり、浮かびあがったり…と、さまざまに表情が変わる、ゼニアならではの特徴があります。

    ゼニア スーツ 生地の代表格へと成長した『トロフェオ』

    その結果、それまでトロフェオを敬遠していた20~50代の若い層にも一気に人気が拡大し、幅広い年齢層から支持を得るレーベルへと急成長したのです。
    2008年までの「トロフェオ」と2009年以降の「トロフェオ」の画像を用意しましたので、ご覧ください。右側の細いストライプの生地が2008年までの「トロフェオ」で、左側の太いストライプの生地が2009年以降の「トロフェオ」です。左側の「トロフェオ」のほうが、生地になめらかさや光沢感があるのがわかると思います。
    この大胆なデザイン路線変更の裏には、紳士服全体のトレンドの変調があったと考えられます。
    2000年代に入り、男性のファッション全体に、「タイトで細身のシルエット」が流行しはじめます。たとえばスーツなら、3つボタンから2つボタンが主流になり、全体的にシャープで、すっきりしたものが好まれるようになっています。さらに「光沢感のある素材」への人気が高まったのが2009年頃。
    ゼニアのデザイナー陣はこのようなトレンドをいち早く見抜き、時代の求めるタイトなシルエットに合う素材としてトロフェオの素材やデザインを大幅に見直し、光沢感やオシャレ感があるものへとシフトしていったのだと考えられます。

    トレンドの変化に合わせてリニューアルを重ね、なおも進化する「トロフェオ」。現在、ゼニアの生地の中でも「オシャレな生地」の代名詞ともいえるレーベルとして人気を博しています。ツヤ感、光沢感があるだけではなく、手触りのやわらかさなどにもすぐれ、その完成度の高さに「トロフェオで仕立てたスーツに袖を通すと、他のスーツが着られなくなる」という人もいるほど。「トロフェオ」は、ゼニアの中でも特にトレンドに敏感なレーベルとして、これからも注目を集めていくことでしょう。

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