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Ermenegildo Zegna(ゼニア)のオーダースーツの適正な価格・値段は?

Q:Ermenegildo Zegna(ゼニア)のスーツを直営店が仕立てると、50万円以上するという話を聞きました。しかし、直営店以外で仕立てると、もっと安く、価格もさまざまであると聞きました。なぜ、こんなに値段が違うのでしょうか。ゼニアのオーダースーツの適正な価格というものは、いくらくらいなのでしょうか?

A:ゼニアスーツの価格を決める要素

まず、「ゼニアスーツの価格は何で決まるか」ということから考えてみましょう。
直営店の場合は、「ゼニアの直営店」というステータス自体が価格に大きく影響していると考えられます。具体的に数字で表すことはできませんが、「ブランドの直営店(で仕立てる)」という付加価値が、仕立て価格にも大きく反映されていることは間違いないでしょう。
では、直営店以外のテーラーの場合はどうかというと、一般的には、オーダースーツの価格を決めるのは、主に2つ。「生地自体の値段」と「仕立て方法」です。当たり前のことですが、よい生地を使った、よい仕立てのスーツの価格は高くなります。
ゼニアスーツなら、使われている生地は同じゼニアの生地です。もちろん生地ごとに値段は違いますが、それだけで大きな差が出ることはありません。よって、値段の差は主に「仕立て方法」の違いからくると考えられます。
そこで、仕立ての違いを詳しく説明します。
ひとことで「オーダースーツ」と言っても、その仕立て方には3つの方法があります。「パターンオーダー」「イージーオーダー」「フルオーダー」です。

「パターンオーダー」は、既製の見本服(ゲージ服)の中から一番近いサイズのものを選んで、その型紙をもとに丈などの長さを調整して作ります。
「イージーオーダー」は、あらかじめ用意されている100~150種類ほどの型紙の中から一番近いサイズのものを使い、スーツを仕立てます。
「フルオーダー」は、お客様のサイズを採寸し、それをもとにイチから型紙を作ってスーツを仕立てます。

仕立て方が変われば、仕立てにかかる手間や時間も変わります。
たとえば、イージーオーダー(マシンオーダーと呼ぶテーラーもあります)で仕立てる場合、完成までにかかる工程数は170~180、時間にすると約300分間程度の時間がかかります。
同じイージーオーダーでも、仮縫い付きになれば、仮縫いとその後の型紙修正、補正裁断などの作業が増え、最終的な工程数は約280前後、時間にして約450分間がかかります。
フルオーダーの場合は、型紙をイチから作ることになるので、工程は全部で約550、時間にして実に3,000分間と、マシンオーダーの3倍以上の手間、約10倍の時間をかけて仕立てなければいけません。さらに、お台場仕立てや本切羽といった仕立てを付加すれば、さらにこれ以上の手間と時間がかかり、結果的に値段の上昇に繋がります。

ゼニアスーツの価格を決めるその他の要素

生地や仕立て方法以外では、生地以外の素材も、スーツの価格を左右します。

生地以外の素材として、スーツのシルエットを維持するのに重要なパーツのひとつである芯地を例に説明しましょう。
芯地には、フェルト、麻、綿、羊毛のほか、馬やキャメルの尻尾の毛を用いた毛芯など、いくつか種類があります。
スーツの芯地に最適なものとしては、馬の尻尾を使った「バス芯」が挙げられます。馬の尻尾には適度なハリがあるため、生地の柔らかさを損なうことなく、シルエットを維持することができるのです。
ゼニアのような繊細な原毛を使った生地は、非常に柔らかいことが特徴です。この風合いを損なうことなく、かつ型崩れなく仕立てるためには、バス芯を使うのが望ましいのですが、バス芯は高価で、縫い付ける手間もかかります。バス芯をスーツ地に手縫いで縫い付けるには約1800針縫わなければいけません。
また、複数の芯地を組み合わせる場合は、あらかじめ芯地同士を重ね、縫い合わせておく、という作業も必要になります。

このように、同じ価格のゼニアの生地を使って、同じテーラーでオーダースーツを仕立てても、仕立てる方法や使用する素材が異なれば、仕立て価格も異なるので、一概に「ゼニアのオーダースーツの適正な価格はいくらである」という答えはありません。
素材や着心地、予算、完成までのスケジュールなどをしっかり吟味したうえで、自分にとって最適な値段のゼニアスーツをオーダーされるのがよいでしょう。