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ゼニア スーツ生地『トロフェオカシミヤ』とは

Ermenegildo Zegna(ゼニア)スーツの定番レーベルの1つ「トロフェオ」は、繊維の平均直径が16ミクロンという極細のウールをしっかり撚って織り上げられた生地です。表面の滑らかさや光沢感、また、ヘリンボーン柄などのトレンドを意識した柄などで、様々な年代から支持されています(ゼニア スーツ素材「トロフェオ」について詳しくはこちら)。

トロフェオは100%羊毛のみを使って作った生地ですが、ゼニアには、実はこれに5%カシミヤを混紡して作られたレーベルがあります。それが「トロフェオカシミヤ」です。
なめらかな光沢感のあるトロフェオと違い、トロフェオカシミヤは表面が毛羽立っていて、見るからに秋冬向けの温かみを感じる生地です。トロフェオカシミヤのような、表面が毛羽立っている素材を「フランネル」といいます。

フランネルと聞くと、起毛していて、やや肉厚の、いわゆる「ネルシャツ」を思い出す方も多いことでしょう。あの高級スーツのゼニアがなぜそんなカジュアルな素材を、しかもカシミヤを混紡してまで作るのか、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、ゼニアのトロフェオカシミヤについて説明する前に、まずは、フランネルとはどのような素材かについて説明しようと思います。
フランネルは、表面の起毛感が特徴です。この起毛感が生まれる要因は2つ。1つは、使用されている糸で、もう1つは、織り上げた後の加工です。

まず、糸から説明しましょう。フランネルは、「紡毛糸(ぼうもうし)」という糸を使って作ります。原毛を糸に加工する時には、まず長さを均一にするためにクシで梳(す)くのですが、紡毛糸というのは、このときに落ちた、比較的短い繊維の毛(紡毛)で作った糸のことです。

これだけ聞くと「では、紡毛糸は粗悪な素材なのではないか」と思う方もいるかもしれません。しかし、決してそんなことはありません。
紡毛糸は粗悪ではない、ということを示す例をあげましょう。ゼニアのトロフェオカシミヤにはカシミヤが使われていますが、高級素材として知られるカシミヤの原毛のほとんどは、紡毛糸として紡績されます。

ウールは羊の毛をまるごと刈り取りますが、カシミヤは、カシミヤ山羊の皮膚近くに生えている産毛だけをクシで梳き取って作ります。産毛ですから、当然1本1本の毛の長さは短め。したがって、紡毛糸になることが多いのです。

また、紡毛糸は短い繊維をふんわりと撚り合わせて作るため、柔らかく、起毛しやすく、保温性が高い、秋冬に適した素材になります。紡毛糸は決して粗悪な素材ではないということが、このことからもわかることでしょう。

2つめの理由は、織り上がった後に施される縮絨(しゅくじゅう)と呼ばれる加工です。縮絨加工というのは、織り上がった生地を湿らせ、叩いたり揉んだりすること。こうすることで、生地表面の細かな繊維がさらに絡まり、表面が毛羽立ちます。その結果、さらに生地は柔らかくなり、保温性も高くなります。

ゼニアのトロフェオカシミヤにも、当然、縮絨加工が施されています。生地表面を見ていただくと、秋冬にふさわしい、温かみを感じさせる細かな起毛感があるのがわかることでしょう。しかし、触るとゼニアらしい、極細ウールとカシミヤから生まれる独特のヌメリや柔らかさがあります。

また、縮絨加工を施すと、どうしても生地がやや肉厚になってしまいがちですが、ゼニアのトロフェオカシミヤは、もともと使用している原毛が極細であることもあり、厚みはほとんど感じません。トロフェオカシミヤの目付(1メートルあたりの生地の重さ)は約240グラム程度。温かみを感じる起毛素材でありながら、一般的なトロフェオとほぼ変わらない軽さの生地に仕上がっているのです。

軽く着られ、保温性が高く、起毛感があり、さらにカシミヤ混のなめらかさがあるという、秋冬にぴったりのゼニアのレーベル、トロフェオカシミヤ。ゼニアで高級感あるカジュアルなおしゃれを楽しむためのジャケット、スーツを仕立てたいとお考えの場合に、トロフェオカシミヤはぜひチェックしていただきたいレーベルです。